神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

(簡易書評)秘剣 梅明かり なまけ侍 佐々木景久

秘剣 梅明かり なまけ侍 佐々木景久 (アルファポリス文庫)

・タイトル

秘剣 梅明かり なまけ侍 佐々木景久

・点数 60点

掴み☆
読みやすさ☆☆
テーマ☆☆☆
総合力☆☆☆

・著者情報

鵜狩三善

「息抜きの間に人生を送る駄目人間。 特技は長期的展望に立って計画的にだらだらすること。 一生のうちに三つくらいは胸を張って、「俺は善いことをしたぞ!」と言える振る舞いができたらいいと思う。」
Twitterのプロフィールより引用

はぎのたえこ

オイルパステルによるあたたかく、なつかしさを感じる画風が特徴。

・あらすじ

北陸の小藩・御辻藩(みつじはん)の藩士、佐々木景久(ささきかげひさ)。
人並外れた力を持つ彼は、自分が人に害をなすことを恐れるあまり、世に背を向けて生きていた。

だが、あるとき竹馬の友、池尾彦三郎(いけのおひこさぶろう)が窮地に陥る。

父の代から確執がある後藤左馬之助(ごとうさまのすけ)が、彼との決闘を望んだのだ。

左馬之助は一流の剣客。
一方、彦三郎は剣の腕がからきしで、立ち合えば命はない。
景久は友を救うべく、己の生きざまを捨て、決闘に割って入ることにした。
勝算はある。
彼は生来の剛力だけでなく、師から秘剣・梅明かりを授けられており――


・感想
選考理由はあらすじが気になったからです。
久しぶりに時代小説を読みたい気分だったのもあります。

まずは掴み(入り方)ですが、時代小説・時代劇の初っ端ってちょっと掴み難いところありますよね、どうしても説明がちになっちゃいがちというか。

これも時代小説あるあるですが、普段見慣れない漢字が沢山出てくるのと、独特な言い回しがありますので、初心者には読みづらい部分も多いと思います。
これが敷居が高いと敬遠される理由かも?

でも、なので、リターンじゃないですが、こういう場でしか触れることのない難しい言い回しとなる漢字や表現に加えて命に対する責任感や緊張感の伴う表現の勉強にはなると感じました。

しかも、慣れてくると(というより最も難解な序章を越えると)、読みやすさが増すので、最初さえ乗り越えられたら……って感じです。

あらすじ以上のネタバレは必要以上は原則的にしないのが簡易版書評に設けたセルフルールなので、それに習いつつテーマに関してお話しますと、あらすじから察せられる通りの侍道に反する、侍の心を持たない男の彼なりの生き様を描いた作品と言えると思います。

あらすじから期待したテーマ性・内容であったか?という意味に関しては概ね◯といった評価になります。

難所を越えると比較的読みやすいとは言いましたが、あらすじに出ている人物との関係性を深掘りしていくターンが早めなので、感情移入も比較的しやすい部類の時代小説だと思います。

ヒーローは少々ひねくれているが、親しい人達には真っ直ぐ。
悪役は清々しいまでのクズ、人間が持つ醜態の権化のような存在。
テーマとしてはこれも入ってると僕は感じました。

ちなみに徳川家宣将軍の時代のお話です。
力による支配が古い考えとなりつつある、粛清も旧時代的と言われ出した武よりも文才がやや優勢な時代。

点数で言えばいまいちに見えますが、これが時代小説でなければ掴みの部分が加点されて72点だったはずなので、わりといい感じでした。

ちょっと惜しいのでフォローと弁明させて頂くと、時代劇好きだけど、時代小説は敷居が高いと思っている方や、時代小説にこれから挑戦してみたい方にはわりとおすすめです。

個人的にはこの作品を読んで、自分が子供の頃に初めて読んだ時代小説「宮本武蔵」を思い出しました。

佐々木家の在り方とか個人的には好きですし、勉強になった部分もあったし、読んでよかったです。

そういえば、Twitterのプロフィールから見受けられる自虐的に入る独特な人生観は凄く作品に活かされてると思います。


おまけ


おまけ2


おまけ3