神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

カープ応援物語!と野球に対する愛憎『球場ラヴァーズ~私を野球につれてって~』

球場ラヴァーズ~私を野球につれてって~ コミック 1-3巻セット (ヤングキングコミックス)

・タイトル

球場ラヴァーズ~私を野球につれてって~

・本の概要

東京ドームでビールの移動販売員のアルバイトをしている少女・太田日南子。
販売成績はいつもトップで誇りをもっている彼女だが野球が大嫌い。
その理由は!?
新たな主人公で繰り広げるカープ応援物語!

・著者情報

石田敦子(いしだ あつこ)

生年月日 1963年8月9日
出身地 広島県福山市
職業 アニメーター・キャラクターデザイナー・漫画家・イラストレータ

高校1年生当時、安彦良和が描いたイラストが表紙になっていた『アニメージュ』を書店で見たことをきっかけにして、アニメ業界を志す。アニメーターの金田伊功は憧れの存在で、カナメプロダクションではいのまたむつみに影響を受けた。

作画監督は『伝説の勇者ダ・ガーン』、キャラクターデザインは『勇者特急マイトガイン』がそれぞれ初担当作品。
勇者特急マイトガイン』の仕事で注目され、アニメ雑誌で特集を組まれる人気アニメーターとなる。

プロ野球球団の広島東洋カープのファンで、野球に博識な伊集院光を神格化している。

2000年以降はアニメーターとしての一線からほぼ退いており、漫画家としての活躍が目覚ましい。
漫画家としては1980年代以前の少女漫画の影響が強く、ざっくりとした荒い描線と、リリカルで重たいストーリーが強い特徴。

点数 80点

ストーリー☆☆☆☆
画力☆☆
キャラクター☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆

・評価
ある意味、超密着型の広島東洋カープの応援ストーリーであり、野球を憎む女の子が主役という愛憎を描いた作品でした。
分かりやすくて一貫性のあるお手本のようなストーリーでした。
プロ野球に個人的な恨みを持っていて、プロ野球を憎んでる女の子が球場で売り子のバイトをしてるのも奥深い理由があり、野球の面同様、人間ドラマとしても普通に面白かったです。

反して、画力はやや粗削りな印象を受けます。
なんかカクカクしてる感じです。
ただ、味があるのでクセにはなります。コクがある画?

キャラクターが際立つというよりは、ストーリーを添える意味で役割を果たしてるイメージの作品です。

主人公周りの人間ドラマは一旦置いといて、球場でプロ野球を見る臨場感が伝わってきて、生で見る野球って素晴らしいんだろうなぁ~って思いました。
プロ野球の厳しさも細かく描かれていて、そっちの意味でも面白い作品でした。

読んでる最中は他のことを一切考えずに没頭して、読み終わりの満足感が高い作品でした。
これは僕の趣味に野球が入っていることも大いに関係してますが、カープ中心ながら他球団(88年世代やダル・涌など)のことにもちゃんと触れてくれるので、読みながらテンションが上がる場面も多かったです。
懐かしい選手が出てくるのもポイント高いです。


以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。


球場ラヴァーズ ~私を野球につれてって~(1) (ヤングキングコミックス)
球場ラヴァーズ ~私を野球につれてって~(2) (ヤングキングコミックス)
球場ラヴァーズ ~私を野球につれてって~(3) (ヤングキングコミックス)


・感想
失礼ながら、アニメーターの原画監督という印象は受けなかったです。
が、著者情報の最後の欄を見て納得しました。
ざっくりとした荒い描線と当時のカープのリアルとファンの切実な思いが綴られ、ぶつけられている部分がありました。

そして、言われてみれば、らんま・レイアース・剣心の原画担当を感じさせられる線の描き方があったような気もします。
が、読んでる時は思わなかったのが正直なところです。

この作品(シリーズ)がきっかけでマツダで始球式を務めた模様です!
おめでとうございました!


さて、ここからは本編の内容です。

球場に必ずいるビールの売り子さん達をメインキャラクターに押し上げた斬新な切り口から攻める新たなるプロ野球を描いた漫画。
というのが第一印象でした。

そして、プロ野球の試合中の球場が職場という環境は、野球に最も近く、最も遠いという事実はこの作品を読んで知りました。

よくよく考えたら当然なんですけどね、試合中は歩き回ってビールを売ったり、裏で休んでるのだから試合観戦とか出来る訳がない。
そりゃ確かにそうだ。

そして、球場で仕事している人が必ずしも野球を好きとは限らない。
むしろ嫌いだからこそ働いている場合があるのも納得でした。

それ自体は構わないのですが、初期の頃の日南子ちゃんは野球への憎しみを全面に出して失礼なことも仕事仲間を凹ませることもガンガン言うし、悪びれないし、最悪の印象でした。

しかし、彼女が野球を嫌い、憎むのにも理由があるので仕方ない……とは思いつつ、売り子のバイト、就活等で出会った人達にも恵まれ、少しずつ成長していく姿を見守ることが気付いたら癖になっていました(笑)

そして、辛辣な意見もありつつ、(当時)自分が生まれてから1度も優勝していない弱小球団だった広島カープを応援する意味、普段はヤジを飛ばす敵であっても、移籍によって活躍の場を変えた共通の応援する名選手の引退時の両軍から飛び交う温かい声援など、本来であれば生で試合を見なければ分からないような試合の臨場感を体感することも出来ます。

また、球団のファンではなく、球団を飛び越えたイケメン選手の顔ファンの存在にも言及しています。

そういうファンを不純、不埒、にわかだと思う人にこそ見てほしいかもしれません。
顔で好きになるということは、好きな芸能人と同等なわけであり、しっかりと細かい経歴まで調べていたり、全国各地を飛び回っているという人もいるのです。
それはもう、紛れもなくファンです。

そして、引退は終わりじゃないことや、思い出が逆転し、全てがごちゃごちゃになってもなお諦めずに進もうとする姿は一種の感動を覚えました。

支えにしてたもの、指標を失って崩れる瞬間もありましたが、周りに恵まれていたこともあり、進めたのだと思います。

創作物だから……とか、周りに恵まれてるから出来たことだ。とか妬んだり僻んだりするのではなく、友達や家族、思い出は極力大事にしよう、それがいずれ自分の力になる。
ということを改めて学ばさせてもらいました。

作中でちょい複雑な人間関係や、壁にぶつかって行き詰まること、などの自体も起きますが、日南子ちゃん自体がしっかりと過去に向き合ったことにより、人から、そして野球から色々なことを学んで成長していく姿が描かれていきます。


最後に
簡単にまとめるなら、
この作品は、1人のひねくれた女子大生の成長とファン目線のdeepなプロ野球という2つのテーマを描いた作品です。

概要にある通り、基本的には広島カープを中心とした応援物語です。
ところどころで他球団に触れますが、88年世代は気持ち強めに扱われてる気がします。

今見ると複雑なのは広島の低迷期を救う切り札的な存在というか、作中における最近伸びてきた期待の若手の丸佳浩選手……丸さんの扱われ方とか功績考えたら何とも言えない気持ちにはなりますが……

何はともあれ、野球ファンの方はもちろん、五輪とか見て、少し野球に興味出たかも?って方にはいいかもしれません。

丸さんの件の手前、言いにくいですが、巨人ファンの僕は楽しめましたし、学ぶこともありました。

このブログを通して作品に興味を持たれた方がいましたら是非!
どうぞよしなにm(__)m


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