・タイトル
恥知らずのパープルヘイズ―ジョジョの奇妙な冒険より―
・本の概要
主人公はパンナコッタ・フーゴ。
テーマは「一歩踏み出すことができない者たちの物語」。
ジョルノの後日談やチームの仲間の過去話を掘り下げることで原作の補完と5部以外との繋がりを感じさせる内容に仕上げられた作品。
・著者情報
上遠野 浩平(かどの こうへい)
生年月日 1968年12月12日
出身地 千葉県職業 小説家
ジャンル SF、推理小説、ミステリ、ライトノベル代表作
『ブギーポップシリーズ』
『ナイトウォッチ三部作』主な受賞歴
電撃ゲーム小説大賞(1997年)作家としてデビューする以前は、公募新人賞へ投稿を続けると同時にモデラーとしての活動も行っていた。
代表作の『ブギーポップは笑わない』は発売から数年間、電撃文庫で最高の発行部数を誇る作品となり、アニメ化・実写映画化がされ、ライトノベル界に影響を与えた。
デビュー後しばらくは電撃文庫でライトノベルを主に執筆し、90年代後半に始まったライトノベルブームの礎を築いた重要人物の一人であるとされる。
漫画家の荒木飛呂彦に影響を受け、代表作「ブギーポップシリーズ」では作中に登場する固有名詞等が海外のミュージシャンや曲名を元にしている(洋楽を聴き始めたのは『ジョジョの奇妙な冒険』の影響)。
・点数 76点
表現力☆☆☆
深み☆☆☆☆☆
芸術性☆☆☆☆
ストーリー性☆☆☆☆
読みやすさ☆☆☆
・感想
影響を受けた人物に『荒木飛呂彦』先生の名を挙げ、『ジョジョの奇妙な冒険』のファンでもある上遠野浩平さんが描くジョジョ(5部)の後日談と、原作の一部設定を補完した公式同人型アフターストーリー。
前提条件からして読みづらい。
というよりは人を選ぶ敷居の高さ、小説で描くジョジョの難しさが際立つイメージです。
気になってた部分の補完ストーリーでもあるので、5部のファンは解釈の違いさえなければある程度楽しめるかと思います。
興味があれば是非!
個人的にはアニメ化してほしいです。
以下、商品リンクを挟んで、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
5部の直接的な後日談にあたります。
ディアボロに成り代わり、裏社会を統率したジョルノという設定が前提条件として存在します。
そして、真実を知るフーゴが主役の物語です。
2は掛け合わせると4になるから不吉だと自らNo.3を語るミスタがさすがすぎました。徹底してますね、素晴らしい。
裏切者のフーゴが生き残る為にはジョルノに改めて忠誠を誓うしかない。
ジョルノも偉くなったなぁ~とは思いますが、ここまではミスタがフーゴに命令している形なのでこの作品、ジョルノ出るのかな?っていう最初の印象があります(笑)
ポルポの遺産を巡ってかつてジョルノやミスタと対立したサーレー?全然記憶にない、誰だっけ?
あー……もしかしてトラックの激闘の人?
スタンド能力で思い出しました。
傲らず自分の力を過信しないってのはなかなか難しいよね、加齢するとなお悪化する一種の病気と思ったほうがいいかもしれません。油断とか慢心とか。
マッシモ・ヴォルペ。
ジョルノが最も警戒する人物でフーゴが倒さなければならないターゲット……世界の支配者になれる器……本編終了後のジョルノが警戒するってめちゃくちゃ気になる存在です。
なるほどね、マッシモのスタンド能力を知った時、同時にジョルノが最も警戒する理由が分かりました。そういうことか……と。
ジョジョ本編を見ずにこの小説を手に取る人がいるかは謎ですが、一応読んでなくても何となく関係性が分かるようにフーゴ視点でナランチャとの出会いを振り返る場面があります。
これは分かりやすくて良かったと思います。
短くても共に行動したフーゴだからこそ感じるジョルノの「正しい行動」についてか、ふむ……
器が大きすぎる人物と対峙した時、飲み込まれてしまわないように自己投影をしてしまう。
というのはなかなかに興味深い。
憧れの人物と自分の共通点を探す現象と近いものを感じます。
スタンドは性格を写し出す鏡みたいだけど、逆説でそういうスタンドだからこういう性格に変化した可能性がある……というのはここで気付かされました。
そうか、確かにそういうこともあるかもしれない。
時間(記憶)固定の能力使いがいたから時間を永遠にするってそっち系かと思ったらそれかー!!
ジョジョだものね、ジョジョはそこから始まったんですもんね!ジョルノはDIOの息子だもんね!!
お久しぶりです、石仮面。
所謂隠密的役割のキャラクターの仕事人感の格好よさとそれでいてジョルノに対する絶対的忠誠心が凄い。
まさかの4部の客の健康だけを願うシェフとこの小説のオリキャラが意外な繋がりを持ってて驚きを隠せませんが、妙な説得力と納得させられる理由がありました。
フーゴの精神が変化した時、パープルヘイズの性質も変化する。
柔らかくなったとかじゃなくて凶悪性が増したところがフーゴっぽいなって思います。
覚悟決めてもとどのつまりはそういう性質ってことか。
振り返りながら「今にして思うと……」って形でチームブチャラティの心情を見られるのはこの小説の特権かも?
作中では呼ばれることのなかった「ジョジョ」呼びに少しテンションが上がりました。
ジョルノの貫禄が凄すぎてただただ頷くしかない。これが光と闇の共存ってことか……
「勇気」ってのは難しいですよね、攻めるのも勇気、撤退するのも勇気。
単純じゃないからこその人類が辿るべき永遠のテーマなのかもしれません。
ジョルノが圧倒的存在感を誇るのは5部のラストからも分かっていたことですが、想定以上のカリスマだと思いました。
圧倒的力がある以上、洗脳に近いところはありますが……
フーゴ目線の物語が終わり、同時収録のトリッシュ目線の番外編的ストーリーで振り返る形で本編の後日談、ジョルノとミスタの衝突(一方的)が描かれています。
トリッシュの本音について描かれた部分は何とも言えない気持ちになりました。
人生を左右するような重大な局面こそ人は案外選択を間違える。
だからこそ原作におけるフーゴの選択からこういう物語に繋がったのか、と思いつつ、自分に置き換えると確かにそうだったかもしれない……と感じました。
自分が影響を受けた作品とのvs構造企画って燃えるなぁ~
個人的な所感ですけどね!
書籍
電子書籍関連商品
関連商品2
おまけ
おまけ2
検索で引っかかったおまけ