神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

一見ホラーな新感覚ヒューマンストーリー『ヒル』

ヒル コミック 1-5巻セット (BUNCH COMICS)

・タイトル

ヒル

・本の概要

佐倉葉子21歳。
彼女は不当に手に入れた鍵を持ち、住人が不在の家を渡り歩いて生活をしている。
そんな葉子の前に、突然現れたのは、死んだはずの同級生・月沼マコト。
彼の口から語られるところによると、葉子は知らず知らずのうちに「ヒル」と呼ばれる存在になっていたらしい。
ヒル」とは一体何なのか?新時代のドロップアウトストーリー。

・著者情報

今井大輔(いまい だいすけ)

出身地 京都府
生年月日 1981年5月12日
職業 漫画家
活動期間 2007年~

・点数 84点

ストーリー☆☆☆☆
画力☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆

・評価
個人的な第一印象はホラーかな?っていう恐怖感すら覚えた序盤ですが、実際はちゃんとシリアス展開な人間ドラマでした。
見てて息が詰まりそうなスリリングさも兼ね備えています。って言うのは少し大袈裟かもしれませんが。

この作品の魅力は恐らく実在するであろう「ヒル」の存在や、その正体の設定と、それに迫る構成にあります。

主人公の佐倉さんはずっと嫌いでしたが、設定や展開に対して気付けに夢中になり、一気に最後まで読みきってしまいました。
嫌いなはずのキャラクターのラストシーンの表情が素晴らしく、読み終わりの満足感は高かったです。


以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。


ヒル 1巻 (バンチコミックス)
ヒル 2巻 (バンチコミックス)
ヒル 3巻 (バンチコミックス)
ヒル 4巻 (バンチコミックス)
ヒル 5巻(完) (バンチコミックス)


・感想
佐倉葉子という人物は結構自分勝手でルール無用で好き放題して来る主人公です。
彼女は好きではないですが、それでも作品としては面白かったです。

「不当に手に入れた」の時点でお察しかと思いますが、ヒルは厳密には犯罪です。
しかも被害者が被害に気付かない巧妙で悪質な……
まあ、マジレスするとそうですが、漫画なのでそこはよしとしましょう。

主役の佐倉さん、月沼くんは家出きっかけではありますが、中国人の兄弟のようなそうするしか生き方のないケースもあると思うので、そこら辺が難しいところですよね、ここマジで辛かった。
「社会は紙で出来ている」というパワーワード
これはマジで考えさせられるものがありましたし、これを読む方々にも考えてもらいたいテーマです。

「よく見えないほうが残酷になれる」、「片思いは呪い」についても同じ感覚です。
節々に深い言葉がある作品でした。
羨望の身勝手さも含めて。

佐倉葉子と月沼マコト……ハコとカラ……境 はどこなんだろう?
そういう視点から見ても面白かったです。
最後ちょっと切ないですよね、葉子にとってはどっちのほうがよかったんだろう?


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