神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

ONE OUTS

ONE OUTS 全20巻 完結セット (ヤングジャンプコミックス)

・タイトル

ONE OUTS

・本の概要

″優勝に必要な何かが足りない″その″何か″を捜して、沖縄で自主トレに励む″不運の天才打者″児島弘道。
そこで彼は一人の男と出会う。
120km/hそこそこの直球だけで、賭野球″ワンナウト″で無敗を誇る男。
彼は名乗る。渡久地東亜と…。

・著者情報

甲斐谷忍(かいたに しのぶ)

生年月日 1967年9月24日
出身地 鹿児島県

職業 漫画家
活動期間 1994年~
ジャンル 青年漫画
代表作
『ソムリエ』
ONE OUTS
LIAR GAME
受賞歴
第42回手塚賞準入選『もうひとりの僕』

学生時代は音楽バンド活動に熱中し、大学では情報処理工学を専攻してコンピュータ・プログラムを学ぶ。

大学卒業後、中越パルプ工業株式会社入社。
富山県高岡市に配属されていた時期にヤングマガジン月例賞に投稿し、初投稿作が佳作受賞。
1991年に第42回手塚賞(ストーリー部門)準入選の後、会社を退職し、1993年に漫画家デビュー。

1994年に『週刊少年ジャンプ』にて、『翠山ポリスギャング』で連載デビュー。

1991年に『もうひとりの僕』で第42回手塚賞準入選受賞。

1996年、『MANGAオールマン』にて、『ソムリエ』(原作:城アラキ)を連載開始。
ドラマ化もされ、一躍ワインブームの先駆けとなる。

1998年、『ビジネスジャンプ』にて、『ONE OUTS』の連載を開始。
今までに無いタイプの異色野球漫画として人気を博した。

2005年、『週刊ヤングジャンプ』にて、『LIAR GAME』が短期集中連載。
好評を受け、再度集中連載された。

大の競馬好きであり、『LIAR GAME』の登場人物の名前は実在の競馬関係者に由来するものが多い。

元々は「漫画の登場人物の名前を覚えていくのが大変で、『ONE OUTS』のときはしばしば混乱してしまった」ことから、「顔とイメージが一致するジョッキーの名前を使う」ことでその問題をクリアしようと考えたことが契機。

当初はJRAの騎手の名前を使っていたが、最近は「いよいよ名前が足りなくなってきた」ため地方競馬の騎手や引退した騎手の名前を使うことが多いとのこと。

子供の頃に特に影響を受けた作品は鴨川つばめの『マカロニほうれん荘』。

絵柄は能條純一上條淳士望月玲子の影響を大きく受けている。

大学の専門は電子工学であり、大学時代はパソコンゲームのプログラム作りにはまっていたため『LIAR GAME』のゲームを作るのは得意。

2000年に連載された『太平天国演義』が、連載誌『MANGAオールマン』の休刊(事実上の廃刊)により、連載は中断され、ビジネスジャンプ増刊『BJ魂』にて単発的に続編が掲載されるも、未完のまま中断。

その後、『週刊ヤングジャンプ』2008年23号の後書において、「100万円を1日で使いきるとしたら?」という質問に対し「『太平天国演義』第4巻を自費出版する」と答えていることや、LIAR GAMEの連載終了時の自身のTwitterの発言から察するに、自作に対する思い入れや理想の終わらせ方へのこだわりは強いほうの作家に思えます。

・点数 100点

ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆

・感想
野球を知らないとか、″賭け″が野球を冒涜しているとか、そんな理屈や偏見を払拭させるぐらい奥深く、野球というスポーツはとどのつまりは心理戦だと思い出させてくれる作品でもあり、忘れていた大切は何か、または、人生の上で大切な何かを教えてくれる作品でもあります。

渡久地東亜という人物が飄々とし、多くを語らないタイプであり、概要にも書いているキーパーソンでもある児島弘道という人物も昔気質というか、寡黙で背中で語るタイプなので、やはり多くは語りません。
その分、他のキャラクター達が振り回されながらも、表情豊かに賑やかに作品を盛り上げてくれます。
その時のクルクル変わる表情や動きが面白いです。

アウトローな部分はありますが、渡久地東亜という男の生き方や行動はもはやカリスマを越えて神がかった何かだと思います。
少なくとも、読んでる最中はそう思いました。

経営面、球団の改革を巡って再三衝突するオーナーとのバトルは頭脳戦、プロ野球選手相手に遅い速球のみで勝負に出る度胸はノミの強心臓を越えて狂気に近いですが、妨害を受けても対策をされても全く動じない姿には学ぶところも多く、面白いと思いました。

渡久地さんの性格というかやり方として、ヒントはくれるけど、基本的には自分で考えろというのが多いので、考えながら読めるので、心理的な戦略や戦術の勉強にもなります。
東亜さんに倣って、多くは語らずに一言、満足度と充足感のある作品だったと言っておきます。


以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。



作品の魅力、売りとして、頭脳戦・心理戦の中ではかなりテンポのいい展開と、程よい巻数というのがあります。
そして、もやっとはしない(続編を予感させない)綺麗な終わり方をします。
そこも高評価の理由です。

作品独特のオリジナル設定として、元々東亜さんがやっていた1打席勝負「ワンナウト」に倣ったONE OUTS契約でプロとして秘密裏に契約しているのが特徴です。

この契約は簡単に言えば、アウト1つにつき少額の出来高で加算され、失点(自責点でなくても)で大きく減俸査定になる超実力主義の悪魔の契約です。
そして、この契約は公式戦でもオープン戦でも″″試合″である限り査定対象という契約であり、オープン戦の成績から、デビュー前のルーキーながら年俸2億7000万を叩き出し……。

守銭奴でチームの存続よりも自らの懐が潤うことが大事な悪徳オーナーは様々な策を駆使して、渡久地東亜に失点させようと画策をし、そんなオーナーの性格を熟知し、利用する東亜さんは一見、オーナーが得するような提案を受け入れ、その穴を突いて逆に巨額の年俸を獲得しようとする。

プロ野球選手としての選手同士の心理戦も当然しますが、どちらかと言うと、前半はオーナーと渡久地東亜の知られざる戦いがメインです。

後半は作品の元々のテーマである、「足りない何か」を埋める為のチーム改革の話になりますが、これは深くてタメになり、学ばせてもらいながら楽しめる感じです。

渡久地東亜さんから学べる教訓は多くありますが、「明日頑張る」や「次、頑張る」という奴は「自分に次もチャンスが巡ってくる」と信じ込んでるから根本的にダメ。っていう心理面での改革も1つの見所です。


・まとめ
つまり、この作品は、決して善ではない「渡久地東亜」という人物から人生における大切な「何か」を学びとる作品と言っても過言ではないです。
そこまで難しくもないのでオススメです!


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