・タイトル
サイレントラブ
「ミッドナイトスワン」の内田英治が監督・原案・脚本を手がけ、声を捨てた青年と視力を失った音大生が静かに思いを紡いでいく姿をつづったラブストーリー。
・点数 58点
ストーリー☆☆
演出☆☆☆☆
視覚的面白さ☆☆☆☆
聴覚的面白さ☆☆☆☆☆
熱中度☆☆☆
・評価
山田涼介は主演だと何故脚本が……の呪いがまたも発動したかもしれません。
個人的には嫌いではなかったし、楽しめましたが、古今東西様々な作品に触れてないのんびり屋さんには理解が追い付きづらいストーリー性になっているところと、予告詐欺とも言える、思ってた内容ではなかった。感は否めません。
もしかしたら共同脚本の弊害なのかな?とも思います。
発売する時は是非、尺に囚われないディレクターズカット版かコレクターパック版みまいな形で出して欲しいですね!それ次第でストーリーも大化けすると思ってるので!
少し甘めに演出を満点の☆5評価にしようかとも思いましたが、よくよく考えたら若干BGM頼りなところもあるので熟考した末、☆4で。
上記の説明不足と重なりますが、冒頭の出会いのシーンって信頼の絆に繋がるところなので、カメラの画角とか構図とか色彩とか風の音と台詞の塩梅とか結構拘ってそうだなぁ~と思う反面……残りの部分はネタバレになるので後述で!
BGM頼りで盛り立てる演出は過剰に感じる部分もあるかもしれませんが、音楽がテーマなのでそれは全然アリだと思ってます。
○○頼りと言えば、山田涼介さんの超ダッシュとかアクションにかなり頼ったシーンもややあります。
尺的に詰め込めなかったストーリー上の説明不足を各演出で何とか補足してる部分はGoodポイントだと僕は捉えてます。
切ない恋愛映画と思って見たら結構バイオレンスな内容だったので、面白いか、期待通りだったか?と問われれば、回答に少し困りますが、いい映画ではありました。
山田涼介さん、浜辺美波さん、双方のファン層に合っている映画とは言えませんが……息を呑むシーンがあって、目を背けたくなるシーンがあって、場合によっては涙するシーンもあるので、視覚的に魅せるポイントは沢山ありました。
中でも、野村周平さんの表情の変化や立ち方、声の変化は素晴らしかったです。
MVPは野村さんだと思ってます。
影のMVPは台詞ないところの表情の芝居が素晴らしすぎた古田新太さん。
山田涼介×古田新太の組み合わせはファンサービスの一環でもあったのかな?
劇場のスクリーンで聴く久石譲さんの紡いだ音が最強過ぎてささやかなる癒しのひとときって感じでした。
基本的にしんどい部分が多めな映画ですが、ささやかな一時とか束の間の癒しの時間も
にピッタリなメロディは劇場で見る意味を強く感じました。
最後に流れる主題歌のMrs. GREEN APPLEも良かったです。余韻残す感じ。
それ以外にも監督が音にこだわっただけのことはあり、聴こえてくる全ての音が上質でした。
ここの部分がこの作品の肝なので!
ここまで言って、熱中度は中間点なの?って思われるかもしれませんが……はい、残念ながら。
公開された部分のみの率直な感想としては残念ながらそうなります。
そこら辺も内容に触れるので後述に書きます。
以下、商品リンクを挟んで内容に触れた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
・あらすじ
ある出来事をきっかけに声を発することをやめ、毎日をただ生きているだけの青年・蒼。
不慮の事故で視力を失ったピアニスト志望の音大生・美夏と運命的な出会いを果たした彼は、絶望の淵に追い込まれながらも夢を諦めない彼女にひかれていく。
美夏をすべての危険から守ろうとする蒼だったが、彼女に思いを伝える方法は、そっと触れる人差し指とガムランボールの音色だけ。
そんな蒼の不器用な優しさがようやく美夏の心に届きはじめた矢先、運命の渦が2人をのみ込んでいく。
・感想
冒頭の出会いのシーンは交通事故による後天的に視力を失った(著しい低下)こと、有望な音楽家の才能に溢れていたのに転科を余儀なくされる状態になったことで飛び降りをしようとしてるところを止められる→暴れる→必死に止めるですが……蒼くんが初対面なのに様子の異変と飛び降りに気付いて作業(仕事)を中断してダッシュするのが早すぎる。という問題は指摘されても仕方のない部分です。
飛び降りも本気かメンヘラか分かりづらい部分があるので、説明不足は冒頭からありました笑
内容というかストーリーおいての個人的なモヤモヤ部分とそれによって評価が大きく変わる。という部分が全部はしょられてたのでストーリーも熱中度も評価としては伸びませんでした。
そこの部分は、美夏ちゃんが視力を失うきっかけになった物語の起点の事故を起こしたのは北村さんなんじゃないの?です。
だとしたら、蒼くんと北村さんの出会いのシーンでもある「北村さんのベンツ」を強調させたあのシーンに凄く意味が出てきて、絶妙なバランスの三角関係から歪な三角関係に形を変えることになり、クライマックスシーン全体の意味合いも変わってきます。
個人的にはそっちの歪ルートのほうが好みではあるので、そこら辺を明確にするディレクターズカット版に期待していたりします。
ちなみにですが、監督(脚本も兼ねています)がインタビューで語っておられるのは、
今の時代はインターネット、SNS、街中の広告等、日常生活の中で目と耳から入る情報があまりにも多過ぎて人々は知らず知らずの内に疲れてしまっている。
だから、雑音を消したシンプルに人が人を好きになるという作品を作りたかった。とのこと。
監督の思う「純度の高い恋愛映画」の概念が、相手の家柄や経歴、現在の収入や職業に囚われずにそういう(無駄な)情報を排除して、ただ、好きになった人の為にがむしゃらにひた走る2人の男女。という美学だったので、そういう意味では満点だと思います。
意味や説明を追及するのではなく、シンプルな愛の形を描いた映画でした。
そんな意図で作られた映画が僕を含めての
微妙な評価をしているのは少し悲しいことなのかもしれません。
そういえば、ノベライズ版もあったけど、そちらには僕の気になる点の謎は解けるのでしょうか……。
とはいえ、ここまで監督が「音」にこだわった作品。そして、喋れない役柄を見事に演じきった山田涼介さん、音だけが頼りの世界に突然迷い込んだ難しい役柄を体当たりで演じきった浜辺美波さんの努力を考えると、この作品は映像と音で楽しむことが最適解なような……でも、あの世界観をどうやって小説として落とし込んでるのか、とかはめちゃくちゃ気になります。興味あります。悩みどころですね!!
おまけ
山田涼介さん
浜辺美波さん
野村周平さん
監督の代表作
脚本家の作品
久石譲さん
検索で引っかかったおまけ