・タイトル
とめはねっ!鈴里高校書道部
・本の概要
脅されて書道部に入部した大江縁と、だまされて書道部に入部した望月結希。
一風変わった先輩たちに翻弄されて、これでいいのかと思う日々。
それでも、ダイナミックでデリケートな書の世界は、かなり魅力的で…文科系青春コメディー、It's書(SHOW) TIME !!
・著者情報
・点数 96点
ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆
・感想
書道というテーマに対して、真摯に向き合いつつ、馴染みのない方にも楽しめるように丁寧に作られていて、勉強にもなる素晴らしい作品でした。
テーマは勿論一貫していて、知らない書道用語や世界を知るきっかけとして最高であり、奥深さもしっかり備わっています。
主人公は帰国子女の男の子で、緩いというか温厚で優しい男の子です。
海外育ちだけど、達筆な祖母との文通の影響で達筆です。
対して、ヒロインの女の子は柔道部期待のエース兼将来のオリンピアン候補で、がさつな性格で字は下手です。
そんな二人は新入生であり、対極に位置し、恋愛と友情の間で揺れる同門ライバルです。
そんな2人の性格的特徴を表現しつつ、表情の変化のバランスが絶妙でお見事でした。
先輩は天使のような性格と書道に関しては厳しいという特徴を持つ部長と、The不良の態度の先輩、口車が上手い経理も兼ねた先輩の3人(全員女子)です。
彼女達もそうですし、先生も歴史の蘊蓄披露が激しかったり、業界の重鎮やよく出てくるライバル校のキャラクターもユニークです。
それ故に、書道としても人間ドラマとしても楽しめる場面が多く、キャラクターの魅力も作品の武器の1つだと思いました。
本来は難しいはずの用語や小難しいテーマに対し、帰国子女やスポーツ少女の初心者部員、先輩ながらも不良な女子部員を上手く活用することで、面白おかしく茶化しつつ、締めるとこは締めるスタイルがGoodポイントです。
結論を言えばめちゃくちゃ好きな作品です。
書の歴史の話は興味深く、文科系と運動部の異種交流や他校も絡んだライバル関係、恋愛模様、その全てが好きでした。
なので、ページを捲るドキドキ感を常に持ちながら最後まで楽しむことが出来ました。
以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
2007年に高校生だった人はおそらくほぼほぼがマストで知っている(知らなければ不審がられたり、除け者にされても仕方ない)ほどの社会現象を起こした、レンタルの普及でCDが売れない時代にミリオンヒットを飛ばしたモンスター楽曲の青春アミーゴ
を使った書道パフォーマンスを披露します。
地元?が書道甲子園をやってたりするので、もう1つの?第三の?甲子園として意外と馴染みがあって、見るのは案外好きな書道パフォーマンスなのですが、部員を増やすための部活動紹介で新入生の心を掴むためには当時ベストなのではないかと思います、青春アミーゴ。
あれを見せられたら、書道部楽しいかも!って思いますもん。
ちなみに、1巻の冒頭は青春アミーゴ、ラストはHANABI。
僕と同じ趣味の方ならきっと思うことでしょう。
山Pだぁぁぁ!!
皆さん、正直不動産見ましょう!
そんなパフォーマンスは新入部員を増やすための建前であり、新歓や文化祭等のイベント行事の時しか基本はありませんが、真面目な書道(楷書・行書)の話と、書道を通して成長していく人間ドラマを楽しむ作品、見守る作品です。
永字八法、臨書、隷書とか聞き慣れない書道用語が出てきます。
甲骨文字や象形文字は分かる!聞いたことある!
って思ったら、金文という専門的な用語だったというトラップもありました(笑)
前衛書っていうダイナミックな書法も面白かったです。
臨書をデッサンとするなら、前衛書はピカソかな?って感じです。
芸術は爆発だ!っていう力強さと芸術性の関係性を強く感じました。
書の世界も奥深いです!
後は、木に書いた文字を真似る為にサッと書く、とめはねのない″木簡″というのも聞き馴染みのない用語でした。
歴史の勉強にもなります!
途中で止められるのが残念ですが、顧問が世界史の先生なのがいいですね!
書の歴史はすなわち、文字の歴史。
漢字は中国の歴史に繋がるのだ!っていう熱弁をずっと聞いていたいので、マニア向けのとめはねっ!外伝・影山伝を今からでも書いてほしい。
書道と言えば、漢字。または、漢字かな混じりのイメージがありましたが、かな文字の書の芸術的美しさと奥深さはこの作品で知りました!
特別顧問の先生に関しても、勝つための技術を徹底的に叩き込むことを最優先させて1軍・2軍みたいに分ける名門校スタイルと、楽しみながら学べる心情や歴史を重んじるスタイルの対極する双方が出てきます。
どちらも正しいがゆえに深いと思いました。
先生選びから大事という意味でも。
忠臣蔵といろは歌の関連性とかも勉強になりましたね!
47という数字……と言えば分かるかな?
「おぉ!」って思いました。
そして、ハプニングからヒントを学ぶ柔軟性は読者としても学びのある場面であり、そういう心持ちは大切だと思いました。
コミック
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