神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

六番目の小夜子(ドラマ)

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・タイトル

六番目の小夜子

・作品の概要

サヨコ伝説に取り組む三人の少年少女を主人公に、彼らの友情と成長を描く、ミステリー仕立ての学園ドラマ。

・点数 100点

ストーリー☆☆☆☆☆
演出☆☆☆☆☆
視覚的面白さ☆☆☆☆☆
聴覚的面白さ☆☆☆☆☆
熱中度☆☆☆☆☆

・あらすじ

潮田玲が通う学校には「サヨコ」という不思議な言い伝えがあった。
3年に1度、サヨコと名乗る生徒が選ばれて3つの約束(赤い花を生ける・サヨコを演じる・サヨコを指名する)を果たす。
それが成功すれば大いなる扉が開かれ、3年後にまた新しいサヨコが現れる。

しかし、玲がサヨコを演じる年、複数のサヨコが現れる……。

そんな中、玲のクラスに「津村沙世子」という女子生徒が転入して来る。

一方、サヨコの正体に関わる話を聞いてしまった同級生加藤が入院したと聞く玲と(幼馴染みの)秋。
加藤から「碑を見て」と言われ、校庭の片隅を見てみると……

そこには、「昭和六十三年 津村沙世子 享年十五」と刻まれていた。

・感想
原作ではなく、20年ほど前に放送されたドラマの話です。

内容の前に触れておくべき魅力・見所として、今もなお第一線で活躍する超一流俳優陣の覚醒前の若かりし初々しいお芝居を見れるところがあります。

主役に近いほうから、鈴木杏さん、栗山千明さん、山田孝之さん、松本まりかさん、勝地涼さん、山崎育三郎さんらが中学生役として出ています。

覚醒前なんですけど、ベースは出来ているというか、喋り方というか発声の仕方に面影があったり、演技の癖とか分かるので、上記の方のファンにはたまらない部分があるかも?
ちょっとした掘り出し物感はあります。


さて、前置きはこれぐらいにしてそろそろ本編の感想を書きます。
この先は内容に触れるので、ネタバレが気になる方はご注意下さい。


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タイトルにもなっていますが、主人公達の通う学校には人知れず決められた3つの約束を守る「小夜子」という伝統があると噂されていました。

・入学式で赤い花を学校に置く。
・文化祭で小夜子を演じる。
・卒業式で次の小夜子を指名する。
そして暗黙の了解である4つ目のルール
・小夜子であることは誰にも知られてはいけない

そして、引き継がれた6番目の小夜子は……2人いる?

誰にもバレてはいけないという暗黙のルールが初手から破られたり、人知れず小夜子の座を奪い合うように争ったり、かつてこの学校で亡くなった生徒と同姓同名の人物が同じ転校生として現れたり……
「戻ってきた」や慰霊碑の前で微笑んだり……

ミステリー?ホラー?それとも……
テンポ良く進み、繋がるストーリーの面白さと生まれる新たな疑問の連続が面白く、連ドラの理想の形だと思います。

見るべきは亡霊ではなく現実のほうという旨の言葉のメッセージ性は今だからこそ改めて伝えたいメッセージかもしれません。

小夜子の伝統を守れずに途中で失敗したり、小夜子であることがバレたら「本物の小夜子」の怒りに触れて事故が起き、その年代は不吉になる?
それなのに小夜子の正体やら何やら噂が飛び交うのは好奇心なのかな?

メインキャラクターが手術等の影響で1学年留年して実弟と同級生になったり、親の離婚の影響で名字が異なる等の思春期にはちょいベビーな問題を抱えていて……

そんな中、偽物の小夜子が現れたり、妨害者が現れたり、歴代の小夜子の中で唯一正体が明かされている……つまりは失敗した小夜子が大人になってまで戻ってきたり。

誰が敵で誰が味方か分からないストーリー展開はワクワクする部分もあります。

そして、噂好きの未熟な学生とは違い、大人側の意見として、怪奇現象もオカルトもない、世の中には説明出来ることしか起こり得ないという示唆もされていたりもします。

ゲームはいつか終わるものっていうのはちょっと共感できます。
伝統を守るのが正しいのか、終わらせるのが正しいのか、変えることが正解なのか……そこも興味深いです。

そして、今回の6番目の小夜子、失敗した2番目、4番目の小夜子のようなイレギュラー展開を起こした時にもこのゲームは続いている。
それならばこのゲームを最初から……1番目の小夜子から観測している管理者がいるはず。
その人物の本当の目的と真意も見所というか1つの強いメッセージに感じました。

興味深いのは学校を人間を容れる箱だと表現する小夜子(仮)の主張。
服装と髪型の統一を迫り、長時間狭い場所に大人数を閉じ込め、同じ行動をさせて同じ知識を競わせる……言われてみれば確かにって感じはします。

小夜子というのは「鏡」であり、映した者の心を写す……それ故に十人十色の小夜子が生まれる……か。

動物の持つ火事場の力を思えば、人間にもそれが出来るかもしれない。
としたら、津村さんは無意識に無自覚に何かしらの能力を発現させた可能性ありますね?
解釈違いかもしれないので、あくまでも可能性の話です。

2人の小夜子、妨害者とは別の偽小夜子……いや、本物と偽物の違いって何なのだろう?
正体がバレてはいけないルールの中で「小夜子の役割」を先を越してやっていた偽物は端から見れば立派に小夜子な訳で……玲ちゃんが問い詰められる場面は見てて辛い部分と興味深い部分と両面ありました。

過去が暴かれ、伝説の正体の一部が見えた時、熱狂してた生徒達は手のひらを返す。
これもまた道理なのかなぁ~
津村さんの完璧が故につまらなさを感じるそれと伝説に対する好奇心は非常に似た性質だと思います。

そして、物語終盤の絆があるが故の愛故の決別が辛いようで正しい。
辛くても危ない道ほど自分で歩かなければ答えは見付からない。
誰かに頼るとか守ってもらうとかそういうことじゃない。
これは制作サイドからのメッセージだと感じました。

結論として小夜子がいるかいないかは別として、「小夜子(何か)」のせいにして現実逃避、もしくは弱い自分から目を逸らすのは楽。
これは全ての大人が今一度胸に刻むべきかもしれません。
誰かのせいにする前に何が問題だったのかを自分で考えないといけないと思うんですよね、きっとそういうことだと思います。

紆余曲折ありつつも自分の弱さと向き合い、自分の力で乗り越えた先の主要人物達の成長には感慨深いものがありました。
特に、玲ちゃんが偽物の小夜子と対峙する場面、秋とゆきの兄弟喧嘩、秋の決断、クラスメートの津村さんへの態度はそれぞれよかったです。

ハッピーエンド……と思いきや?
最後の描写は捉え方次第で感想が変わるんですけど、ネタバレになるので書くわけにもいかない。
そんなジレンマがあります。
それでもあえてギリギリを攻めるなら……

同じ役者さんがやっているだけの別人なのか、別の時間軸(過去か未来)なのかで変わります。
4、5パターンの解釈が出来ますが、話の流れ的に最も可能性が高いのはこれかなぁ~?って思うものが答えだと思って感想を締めたいと思います。


最後に
ドラマとしての欠点を強いて挙げるなら、展開の予想がしやすかったことかなぁ~
嘘です。
実はこのドラマ、小学校低学年の頃に見てたので、作品を見ながら記憶の扉が開いて少し先読み状態になっただけです。
チートですね、すみません。

個人的にドラマとしての欠点はないです。
鈴木杏さんと栗山千明さんは年上のお姉さんって印象なんですけど、初々しくて可愛い時代の映像を今の自分の年齢で見られることに対する不思議さはあります。

原作も読みたくなってきました。
ドラマとしての演出が神憑ってたので、どう違うのか気になります。
主題歌なのか挿入歌なのか、あのメロディを聴いた瞬間に幼い頃に見たことがあることを一瞬で思い出したほどに忘れない印象的な音を是非体感してもらいたいです!

小学生の頃に学校の怪談系の作品とか世にも奇妙な物語とか大好きでハマってたんですけど、今思うと、この作品がきっかけだったんだなぁ~
と、時系列的に理解しました。

そう考えると、僕のルーツの1つと言っても過言ではない作品です。

明るくて元気で周りを振り回す子が好きなのももしかして……?
いや、これは偶然かな!


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