神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

あるキング(文庫版)

あるキング (徳間文庫)

・タイトル

あるキング(文庫版)

・本の概要

この作品は、今までの伊坂幸太郎作品とは違います。
意外性や、ハッとする展開はありません。
あるのは、ある天才プロ野球選手の不思議なお語。
喜劇なのか悲劇なのか、寓話なのか伝記なのか。

キーワードは、シェイクスピアの名作『マクベス』の三人の魔女、劇中の有名な台詞「きれいはきたない」。
原語は、「fair is foul.」。
フェアとファウル。野球用語が含まれているのも偶然なのか必然なのか。

バットを持った孤独な王様が、みんなの為に本塁打を打つ、そういう物語。

・著者情報

伊坂幸太郎(いさか こうたろう)

生年月日 1971年5月25日
出身地 千葉県松戸市
職業 小説家
活動期間 2000年~
ジャンル 推理小説
代表作
『重力ピエロ』
アヒルと鴨のコインロッカー
ゴールデンスランバー
『逆ソクラテス

大学卒業後、システムエンジニアとして働くかたわら文学賞に応募、2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。
その数年後、作家専業となる。

本屋大賞においては第1回から第4回まで連続ノミネートされた後、2008年の第5回に『ゴールデンスランバー』で受賞。
同作品は、第21回山本周五郎賞も受賞。

直木賞については、2003年『重力ピエロ』、2004年『チルドレン』『グラスホッパー』、2005年『死神の精度』、2006年『砂漠』で候補となるも、2008年、同賞の影響力の高さゆえに環境が変化する可能性を憂慮し、選考対象となることを辞退している。

2020年に『逆ソクラテス』で第33回柴田錬三郎賞を受賞。

2020年より、山本周五郎賞の選考委員を務める。

著作の多くは中国語訳、韓国語訳が出版されており、タイ、フランスでも刊行されている。
英語圏では、2011年にアメリカで『ゴールデンスランバー』(英題『Remote Control』)、2021年4月にはイギリスで『マリアビートル』(英題『Bullet Train』)が刊行された。

受賞歴
1996年
第13回サントリーミステリー大賞佳作『悪党たちが目にしみる』
2000年
第5回新潮ミステリー倶楽部賞『オーデュボンの祈り』
2004年
第25回吉川英治文学新人賞アヒルと鴨のコインロッカー
第57回日本推理作家協会賞短編部門『死神の精度』
2006年
平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門
2008年
第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞ゴールデンスランバー
2014年
第7回大学読書人大賞『マリアビートル』
2017年
第6回静岡書店大賞 小説部門『AX』
2020年
第33回柴田錬三郎賞『逆ソクラテス


現在住んでいる宮城県仙台市を舞台にした作品が多く、多くの作品において、舞台設定や登場人物などがリンクしている。

また、登場人物の中には、同名でありながらも別人格として、複数の作品に登場する人物がいることも特徴の1つ。

・点数 76点

表現力☆☆☆☆
深み☆☆☆☆☆
芸術性☆☆☆☆☆
ストーリー性☆☆☆
読みやすさ☆☆


・感想
実は初の伊坂幸太郎作品です。
伊坂幸太郎デビュー作です。
実写化された某作品は見たことあるのですが、小説を読むのは初めてでした。

なので、「今までの伊坂幸太郎作品とは違う」という謳い文句はあまり分からないのですが、一風変わった作品だったのは間違いないです。

概要にもありますが、この作品の下敷きになっているのはシェイクスピアの人気作、マクベスです。
参考文献に著者の異なる2つのマクベスが入ってるこだわりようでした。

そして、この作品の主軸となっている生まれた瞬間からプロ野球選手として活躍することを運命付けられた主人公、王求ですが、この点に関しましても、栗山英樹さん監修の「わが子をプロ野球選手に育てる本」を参考文献にしていることからも示されてる通り、王求が生まれてからしばらくは、我が子をプロ野球選手にすべく躍起になる親目線の話です。

三人の魔女のような存在や、台詞の引用など、随所にマクベス要素があるのでしょうが、マクベスは未読なのでどこまでがどうかは分かりません←
ついでに言えば、わが子をプロ野球選手に育てる本も読んでません。
つまり、参考文献や資料は知らないです。

伊坂幸太郎作品を狙ったというよりは、野球を題材にした小説を探してたら辿り着いた感じです。
なので、その観点から感想を書きたいと思います。

単刀直入に言いますと、有り得る可能性がある珍話ってイメージです。

異なるいろいろな要素を組み合わせた深みがある一方で、一般的には難解とも取れる内容になっている部分もあります。

そして、必ずしもいいとは言えないかもしれませんが、媒体毎に異なる話に生まれ変わった『あるキング』はアートと言えると思います。


以下、商品リンクを挟んで内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。



アメリカなら人を殺めていても、凄い才能が認められればプロスポーツ選手になれるけど、日本ではそう簡単にいかない……仮になれたとしても、いろんな邪魔が入って順風満帆とはいかない……っていうね。

事故…ではなかったとしても、正当防衛でもそこまで言われなければならないのか?小中学生で?
何も知らずに噂や事実だけでごちゃごちゃ言う奴って嫌いです。

プロになって以降の新人離れした圧倒的才能と実力、頭角を現したのに喜ばれない姿はまさに、バットを持った孤独な王様……

現役時代の自分の記録もしくはレジェンド選手の記録を越えそうな新人は場合によっては淘汰されるのかな?
さすがに今の時代はそんなことないだろうけど、監督も人間だからなぁ~

現役同士で監督のお気に入り問題で飼い殺しされる才能ある選手はいると思いますが。

後半のプロ野球編が全く華やかではないドロドロした人間の心理を赤裸々に描いた部分には脱帽しました。

連載版と単行本と文庫版で内容が異なるので読み比べしてみたいですよね!
それはまたいつか!


おまけ

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