・タイトル
死刑囚042
・本の概要
死刑囚042号(本名・田嶋良平)は、椎名という研究者からある実験に誘われる。
それは、死刑制度を廃止する代わりに、死刑囚の脳に殺意が芽生えると爆発するチップを埋め込め、監視しながら社会奉仕させるというものだった。
その提案を受け入れた田嶋は、とある公立高校で働くことになるが…。
・著者情報
小手川ゆあ(こてがわ ゆあ)
誕生日 1月12日
大分県出身、熊本県熊本市育ち
職業 漫画家
活動期間 1995年~
代表作
『おっとり捜査』
『死刑囚042』
『ARCANA』1995年、「週刊ヤングジャンプ増刊・漫革」9/5号に『おっとり捜査』を初掲載し、デビュー。
何回かの読み切りを掲載した後、1996年の「週刊ヤングジャンプ」33号にて連載デビュー。デビュー作である『おっとり捜査』は今も根強い人気を誇り、『死刑囚042』は死刑囚を通じて生と死を描いた彼女の新たな代表作となった。
漫画家の仙道ますみ、竹田エリと交友があり、竹田エリには『おっとり捜査』や『ARCANA』の巻末に四コマ漫画を描いてもらっている。
・点数 96点
ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆
・評価
分かりやすい。奥深い。テーマが一貫されている。
簡単ではないテーマなのに感情移入しやすく工夫されている。
等の理由からストーリー面では文句無しの満点評価です。本当は加点ブーストかけたいぐらい。
凶悪さ、残忍さを持っているのは果たして死刑囚なのか?それとも自分は悪くないと思い込んでいる一般人なのか?それとも……
というなかなか奥深いテーマを画力の上でも見事に表していると思います。
感情移入しやすかったのはこの温かくて優しい絵柄にもあると思います。
旧採点方式では自分の好みの絵柄という点を加味していましたが、そこの加点を外しました。
これでフラットな評価になっているはずです。
死刑囚、政府側の研究員、赴任先の教師・生徒・父兄を含めた関係者各所に無駄がない。
死刑囚042こと田嶋さんにとって良い意味でも悪い意味でも刺激を与えて人間味を感じられる人物として描くファクターとしての役割をそれぞれが担っています。
作中オリジナルの設定となる「死刑囚の社会奉仕」という政府の考えた新制度の実験的措置としてスタートし、徐々に明かされていく真実に驚愕させる。という構成と、冒頭に爆弾を投下して心を掴むチャレンジ精神に感銘を受けました。
また、強面死刑囚に盲目の少女をぶつけたことで、人間の本質を演出した部分も高評価のポイントです。
以上の点から、読み進めながら続きが気になると思ったのは必然であり、先に行けば行くほど作品の虜となり、満足感しかない作品でした。
巻数的にも程よく読みやすいので、気になった方は是非、読んでみていただけると幸いですm(_ _)m
以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
・感想
旧採点方式では加点に次ぐ加点で限界突破の132点分の☆を獲得した作品です。
現時点で当ブログ最高得点のはずでした。
最初に一言で感想を言うと、最高級にエモーショナルな作品でした!個人的に。
田嶋さんへの感情移入をし過ぎて感情を揺さぶられたり、読む速度をあえて遅くしたりした作品でもありました。
というのも、最初に、1巻の時点で読者は死刑囚042の余命を知らされ、そこから042号こと田嶋良平の人間性に触れ、様々な困難、罵詈雑言を乗り越えて成長・変化する彼を間近に感じつつ、別れのカウントダウンを刻んでいく独特な作風に自分が乗せられたというのが原因でした。
単に死刑囚と言えど人間であり、罪状からは到底察することの出来ない人間的魅力とバックボーンがある。
そこに間接的に触れられ、考えるきっかけをくれたので、それだけで読む価値はあると思います。
肌に合わなかったとしても、こういう制度が実際にあったらどうなのだろう?って考えるだけでも意味はあると思います。
命と向き合うべきこのご時世だからこそ、推奨したい作品です。
作品独自の制度である、死刑囚の実用的活用の法案と実験についてですが、非人道的ではある。
が、更生する意思のある死刑囚にチャンスを与えるのは悪くないと思う。
が、それを悪用しようとする輩がいるのも事実。
学校側や生徒に対する危険がない訳でもない。
ここら辺が難しいですよね、本当に。
とはいえ、頭にチップを埋め込まれているのを分かった上でわざと怒らせて042を死へ誘導としようと画策する高校生や、盲目の少女への扱いを見てると、心の綺麗さは肩書きでは語れないことを実感させられます。
犯罪者になら、死刑囚になら何をしても何を言ってもいいのか?
そういう発想だと何にも変わらないと思います。
大事なのは人間性なんだと改めて実感させられる内容でした。
それを証拠に、042こと田嶋さんとの別れの場面は様々な登場人物が悲しみ、慈しみ、それぞれの胸に心に刻まれていました。
それは、登場人物に限らず、読者にとってもそうだと思います。
この作品を読んで良かったと思えるのは、田嶋さんがいたからであり、田嶋さんでなければあそこまで感情を揺さぶられてない。
少なくとも僕はそうです。
画に関しては個人的に好みの絵柄でした。
そして、田嶋さんや椎名さんの感情が伝わりやすい画でした。
緊迫した場面や、不愉快な場面もありますが、画が優しいので読みやすかったです。
それも高評価の要因です。
コミック
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おまけ
おまけ2
おまけ2に関しての補足です。
リーガルハイのシーズン2の第2話の中で、小手川ゆあさんが作画を担当する劇中漫画の『破壊の天才』が登場します。
そのリンクを貼りたかったのですが、見つけられなかったので、DVD・Blu-rayのセットとなり、シーズン2だけっていうのも変かも?ってことでスペシャル含めて全てとなりました。
最後に逃げ恥混ざってるのは検索で引っかかった大好きなガッキーをスルー出来なかった僕の甘さです。すみません。