神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

階層を超える闇の窃盗集団『ギャングース』

ギャングース コミックセット (モーニングKC) [マーケットプレイスセット]

・タイトル

ギャングース

・本の概要

オレオレ詐欺団の金庫を狙え!職なし、学なし、犯罪歴あり。
社会に見離された最底辺少年トリオが、生きる為に選んだ仕事は"ヤバイ橋"。
裏稼業・悪徳業者の収益金(アガリ)を狙う闇の窃盗集団を結成した!
犯罪結社(カンパニー)の金庫を叩き、建設資材窃盗団の倉庫を荒らす。
義賊?ただの犯罪者?彼らは毒を持つ者を喰らう小動物だ…。

・著者情報

肥谷圭介(ひや けいすけ)

1979年生まれ
出身地 三重県

受賞歴
2006年「DAYS」でヤングアニマルまんが賞準入選
2009年「サンクチュアリー 〜僕に彼女ができない理由〜」で第60回ちばてつや賞ヤング部門準優秀新人賞
2011年「その子の笑顔が世界を救う」で第29回MANGA OPEN山田芳裕

本人曰く、絵柄は井上雄彦の影響を受けている。
漫画の情熱に関しては世界一と豪語する程、自身の作品に対するこだわりは相当に強い。
一見、乱雑に見えるその画風も、実はすべて計算されて描かれたものであり、年を重ねるにつれてよりシャープになっている。

発表された作品のいくつかには同一と見られる登場人物などが描かれた(ただし、年齢が違う事が多い)、一定の作品世界を構築している。

・点数 96点

ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆

・評価
面白いかどうかで判断すれば、決して面白いとは言えないストーリーなのですが、テーマの奥深さと強いメッセージ性がありました。
詳しくは後述の部分で。

読む前、表紙の絵柄からしたら想像がつかなかったですが、なかなかの画力でした。
と言っても、上手さではなく、巧さです。
ふざけているようで秘めた闇、影の部分をダイレクトに伝える技術力がとても高く感じました。
作品のテーマ性とも合っていたので、高めの評価にさせてもらいました。

メインキャラクター、サブキャラクター問わず、そこに至るまでの経緯、バックボーンが描かれているので、それぞれに感情移入がしやすく、興味深く、勿論、個性もあります。
チームとして役割分担もしっかりしていたり、各々が与えられた作中での役割は分かりやすくてそれもよかったです。

この作品を読まなければ気付かない、見過ごしてしまいがちな凄惨な世界、常識では考えられない世界が意外と近くにあること、それを簡単に糾弾していいのか?という考えに至るきっかけをくれた僕にとって考えの幅を広げ、深みをくれた作品でもあります。
それ程までに細部への配慮や丁寧にしてダイナミックな描き方をしている世界観は結構斬新でした。

思わず口が開きっぱなしになっていそうな程に集中してたと思います。
「え⁉️どうなるの⁉️」って思わせる展開が随所に散りばめられていて、読み終わりの多幸感はいろんな意味で高かったです。
正確には、学びの多い作品でした。


以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。 ネタバレが気になる方はご注意下さい。


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・感想
まず、この作品はいろんな方から勧められた作品であり、テレビで著名人の方も勧めていた作品だったのと、その番組のこの作品に対する紹介の仕方が素晴らしく、芸人さんのプレゼンも上手くていつか必ず読もう。と心に決めてた作品でした(すぐ読まなかったのは当時は未完だった為)。

そんな期待値もあってか、1巻の読み終わりの反応は微妙でした。むしろマイナス寄りなぐらい。
これ自体(作品にアジャストしきれてないこと)は珍しくないのですが、時間を割いてまで続き読むのは億劫かも…とさえ思った1巻だったので、2巻を読むまでは気が重かったのを覚えています。

が、しかし…ひと度2巻を手に取ればあれよあれよと手が進む、指が進むの熱中度でした。
これはつまり、作品へのアジャストが出来るか否かに全てがかかっている……とも言えると思います。あくまでも僕の主観ですが。

アングラ作品への免疫はそれなりにあるほうなのですが、「復讐ではなく生きる為」、「少年達」という作品のテーマが意外と難点でした。
というのも、アジャストしてない素の状態で読むと、「それでも人に迷惑かけちゃいかんだろ?」とか思ってしまう節がどうしても出てきてしまうので、この作品を読むにあたってそんな正論もまともな感性もいらねぇんだよ、と、一時的に捨て去る気概が必要だったからです。

2巻からわりとすんなりそれが出来たのは、作者コメント等のおかげな部分もあるんですけど、これは実際に起こった出来事が基になっていて、こうすることでしか生きていけない子供達が実在することを教えられたから。というのがあります。

実際に起こっている事件や手口を基にしているので、作中の至るところで作者メモとして、用語の説明だったり、解説が入っています。
これが小文字で目が悪いと少々見辛いのがたまに傷ですが、作品をより楽しめたり、防犯対策に役立つ豆知識にもなりますので、読んだほうがお得だとは思います。

評価がピーキーな理由は他にもあります。
結局は誰かの犠牲の上で成り立つ独りよがりなのか自己犠牲なのか問題+仲間が増えるにつれ、真の主役である1人を除く初期メンバーの活躍度合いが減り、意思疎通が図れてないっていう組織あるあるみたいなのがやはり存在します。

決して肯定はしたくないストーリー構成ですが、その世界観には引き込まれたし、漫画としての面白さは存分に味合わせてもらったので、こういう評価になりました。

正論だけでは計り知れない世界があり、どんな惨めで凄惨な人生でも明るく前向きに生きようとするカズキの鬱陶しさと人類愛に対する結末は見て損はないと思います。
考え方の幅がまた1つ広がった作品でした。


コミック

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