・タイトル
BTOOOM!
・本の概要
日々を無為に過ごす典型的なニートの坂本竜太は、突如見知らぬ男たちの手によって南海の孤島に連行される。
そこで彼が強いられたのは、同じく島に連れ去られて来た人々との爆弾を駆使した殺し合い‼
その内容は竜太が世界ランカーのネットゲーム『BTOOOM!』に酷似していた――。
時限式、クラッカータイプ、リモコン型、数種の爆弾を使いこなし生き残るために爆殺せよ‼
容赦なしのサバイバルゲームが幕を開ける‼
・著者情報
井上淳哉(いのうえ じゅんや)
生年月日 1971年10月18日
出身地 高知県中村市(現:四万十市)
職業 ゲームクリエイター・イラストレーター・漫画家1992年に東亜プランに入社。
東亜プラン倒産後は、ガゼルを経てケイブに入社。弾幕系シューティングの発展に大きく寄与する。
2001年にケイブを退社し、本格的に漫画家として活動を始めた。
・点数 84点
ストーリー☆☆☆☆
画力☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆
・評価
比較的スタンダードなゲーム×死のデスゲーム系の漫画なので、ここに辿り着いた人にとっては大方馴染みのある分かりやすい大筋だとは思います。
そして、テーマとして「情報」がかなり重要視されています。
情報管理の重要性と流失は意図的な場合は悪意であることが明確に描かれていくので、テーマとして深く、一貫性もありました。
最終巻が2つ(異なるルート)用意されてるのが漫画としては特殊な部類なので、そこは分かりにくいかもしれません。
そこの説明は内容に触れることになるので後述で。
表紙に騙されそうになるぐらいキャラクターのイメージと性格に差異が生まれます。
別にいいんですけど、一応触れておきました。
武器は原則、爆弾です。わりと臨場感のあるサバイバルデスゲームが楽しめます。
好きなキャラはいますし、各々の役割は果たしてますが、クライマックスにかけての黒幕側のキャラクター性はややパンチ弱かったかもしれません。
2ルート用意するぐらいですし、Xboxソフトのパッケージ風の表紙や、作中のデスゲームのモチーフになるオンラインゲーム等、実際のゲームクリエイターならではのこだわりを感じました。
結構斬新に攻めていたと思います。当時は特に。
概ね満足なのですが、細かい不満の重なりと、スピンオフに繋がる最後の仕掛けでテンションが上がらなかったので、熱意は1作で燃え尽きた感じです。
旧採点方式では92点でしたが、個人的な好みを度外視すると、こういう結果になりました。
以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
・感想
業界初のマルチエンディング採用の離れ業をやってのけた衝撃作。
GoodとBadという単純なものではなく、商業漫画として正しい「読者が望む結末」を描いた友情編と、この作品と作者の特性を活かした「この作者ならではの結末」の2つのルートになります。
全部で27巻ですが、26巻が2種類存在する特殊な作品です。
スピンオフ(U18)に繋がるのはルートAの友情編、BTOOOM!に終わりを告げるのが真実編。
僕はそういう解釈でした。
作者さんは出来れば両方読んで、どちらの結末が好みか比べてほしいとご所望のようでした。
単純に見比べたら僕は真実編のほうが好みです。
さて、1度話をBTOOOM!という作品の魅力について書きたいと思います。
この作品は概要の通り、作中のオンラインゲームを現実に再現したリアルサバイバルゲームです。
各プレイヤーに最初に配られるのは手に埋め込まれたチップと8個のBIM。
チップを7つ集めればクリアとなります。
チップかざしてサーチャーとして使うことで、自分の位置を知られる代わりに近くのプレイヤーを見付けることができます。また、相手のサーチを読んで相殺することで気付かれずに近付くことも可能。
BIMも複数種類存在し、所有権を奪えば自分のものとして使えたり、クリア人数が限られていることから心理戦として上手く機能するシステムになっています。
そして、このゲームとシステムを裏で管理する第三者の思惑も……
世界観の面白さ以外にも、主人公の坂本やヒミコ、ショタでリョナ⁉な衝撃的な存在だった吉良の精神面での成長も作中の魅力だと思います。
過程が丁寧に描かれているので、感情移入しやすいです。
では、異なる2つの最終巻の話に戻ります。
まず、具体的な違いなんですけど、主人公の坂本くんと幼馴染みの旧友織田くんのやりとりが若干異なります。
ここが分岐点となる特異点になるんですけど、坂本くんの選択1つで全てが変わる感じはゲームとリアルの狭間の絶妙なバランスが取れているこの作品と作者さんの経験測に基づいた独自性になっています。
具体的に言えば、相手へのコンプレックスを語る場面で、負け惜しみがてらに吐き捨てるパターンと、死に行く者へついでだから教えてやる的なパターンです。
そして、前述通り、友情編のほうはスピンオフに繋がります。
反対に伏せられていたヒミコに関する真実が明かされるのは真実編だけです。
おそらく、作者さんが作品を通して最も伝えたかった想いとして、
「情報は流す側の都合のいい内容しか流れない」
物語を紙面ではなく立体で捉えてほしい。
というのがありました。
その意図はしっかり受けとりました。
個人的な主観にはなりますが、1~25巻→26巻 真実編→26巻 友情編からスピンオフと読むのが流れ的にはいいと思います。
スピンオフまで読む気がなければ、友情編→真実編がオススメです。
どちらかしか読まないのであれば真実編がオススメです。
理由としては、BTOOOM!を25巻まで読んだ方なら、作品の特性を活かした真実編のほうがお気に召すのではなかろうか?って思うからです。
とはいえ、作者さんも言う通り、どれが正解とかはないと思います。
自分の感じたままにフィーリングでいいと思います❗
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