神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

魔王 JUVENILE REMIX 第6巻

魔王 JUVENILE REMIX(6) 魔王 JUVENILE REMIX (少年サンデーコミックス)

・タイトル

魔王 JUVENILE REMIX 第6巻

・点数 100点++++

ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆☆☆☆
オリジナリティ⭐⭐⭐⭐☆
テンポ☆☆☆☆☆
熱中度☆☆☆☆☆

・本の概要
・未来圏からの風
注文の多い料理店
・前夜
・別れ路
・計略
・スタンス
・片鱗
・逃亡者の悟り
・最後の賭
・20歩のタクティクス

・感想
アンダーソン父から見た日本人は、ついこの間まで政治的なことに無関心だった民衆が声のでかい1人の人間の声に同調して群がる国民性を見事に見抜いた皮肉でした。
みんな責任は取りたくないから責任押し付けて安全圏から好き放題言うんだよね、んで、都合悪くなれば逃げる。最低だ。

犬養さんの好きな宮沢賢治。特に好きな『注文の多い料理店
注文の多い料理店 (新潮文庫)
注文の多い料理店-宮沢賢治童話集1-(新装版) (講談社青い鳥文庫)
注文の多い料理店 (日本の童話名作選)
注文の多い料理店 (角川文庫)
注文の多い料理店

この作品の紳士を笑ってバカにするわりに自分たちは……って部分をこの作家陣は強調してる演出かな?
教養って学んでも活かせなきゃ意味ないし、少なくとも学校内では全員に同じ勉学の機会を与えられるのに差が出来てしまう教育って案外残酷なのかも。

その中でイレギュラーは排除されがちだけど、優秀だったり間違ってない人を数の力でってやり方はそのまんま大人が政治家等、国のために動いてる人を攻撃するのに近いかも。
意図を聞かない、説明されても理解が出来ない。
これは政策を見ずにイメージと自分の狭い価値観が全てだと思っている悲しい現実なのかな?
日本人は外交を軽んじてる傾向にあるし。

「考えろ」を強調するのはそういうメッセージも含まれていると僕は捉えています。
勿論、原作を伊坂幸太郎さんが執筆していた時代と今では政権も国の在り方も違うけど、集団デモとかやったり募ってる場面見ると、共通項もあるのかな?と。

うわぁ……被害者ぶって問題と論点のすり替えして集団で権力者へ怒りを持ってくのはまさに今、タイムリーで起こっている出来事と一致する。
愚かな民衆は忠告しても変わらない、歴史は繰り返す……ってこと?
自分で考えてないから?
まあ、身近にもいたりするよね、自分は棚に上げて全てを周りや世間や環境のせいにする責任転嫁の常習犯みたいな人。結構いるんじゃないかな?多分、貴方の隣にも。いや、後ろかも?
なーんてね。

あー、分かる。というより解るのほうかな?
実は気になってたし、研究テーマとして興味深いよね、「ごきげんよう、ひさしぶり」。
そうね、「G」ね。

それはそれとして、本編の話。

「おそらく誰かが死に至る詩なのに、清々しくてのんびりした気分になる」

これは読者への暗示かな?
確かに、清々しくて爽やかに見えるよ。

そして、異物に対して寛容な統制者?為政者は稀有である。
逆らう者、従わぬ者、邪魔する者を排除するのではなく、あえて生かして好きにさせて尚且つ打ち勝つ絶対的自信……うーん、まさに理想のリーダー像かもしれん。

安藤くん、範囲の目安がmじゃなくて歩数なのは分かりやすいようで分かりづらいよ(笑)
安藤くんの歩数でそれってことだろうけどね!
独特。

「命令されたから…」で考えずに動く民衆は危険だ。というのも一理ある。
が、それは「車は人を轢く可能性がある危険な乗り物だから乗るな」と言ってるのと同じだ。って反論されると、「なるほど」と納得してしまう。

自分では車もバイクも運転しないけど、コロナ渦になって利便性の上での車の大切さは理解したから、それ言われるともう言い返せないや。

支配と統率の違いは明確に付けるべきだと思うけど、これも一歩間違ったら最近話題の宗教みたいな話になってくるよなぁ~

「甘やかされて傲慢な若者」と、「自分にしか興味ない人間ばかりが溢れる国」をどう思うか?
道理や細かい思想をブッ飛ばして結果だけ言えば、「愚かだと思う」。

まず、伊坂幸太郎さんの魔王が2005年発行、この漫画が2007~2009年連載。
大体15年程前にこういう形で問題提起されているのに何も変わってない。ただ繰り返している。
これを愚かと言わずになんと言う?ってね。

そして、犬養という人物を軸に完全に対立する2人のどちらの意見も分かってしまうし、どちらも間違いとは言いきれないし、正しいとも言いきれない。
なら……結果を見守るしかない。

とは思いつつ、第三者視点のキャラクターが現状はいないからある意味で最も卑怯な自分の在り方を糾弾してくれる人物がいなくて、ちょっと苦しくなってきた気もする。
が、それでいいんだと思う。
生きるってもがき苦しむことだと思うので。

勝ち目がないから……と逃げ出しては、それこそ本当に勝ち目がなくなる。
かなり危険でも、リスクを背負って動かないことには勝ち筋は手繰り寄せられない……か、本当に成長したなぁ~、安藤くん。

マスターとのバトルは破壊力vs話術の異種格闘技戦かと思いきや、なかなかどうして1つの心理戦として綺麗に機能している。

一瞬というか、一呼吸の間の実質的な洗脳。
これこそが腹話術の真骨頂か……にしても凄いな、この戦い方。



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