神黎の図書館

主観によるグラフ+点数+感想を綴る読書感想文風書評ブログです。月間で読む漫画は150冊~200冊。小説や映像作品についてもちょこちょこと。

岸部露伴は戯れない

岸辺露伴は戯れない 短編小説集 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)


・タイトル

岸辺露伴は戯れない

著者情報
【幸福の箱】、【シンメトリー・ルーム】担当

北國ばらっど

ライトノベル作家
ガンダム遊戯王、ライダーのファン?



【夕柳台】担当

宮本深礼(みやもと みれい)

ジョジョの他、NARUTO 新伝、斉木楠雄・ドラゴンクエスト銀魂 The FINALなどの映画のノベライズも担当している。



【楽園の落穂】担当

吉上亮(よしがみ りょう)

1989年生まれ、埼玉県出身
職業 SF作家
日本SF作家クラブ会員、日本推理作家協会所属

活動期間 2013年~
ジャンル SF
デビュー作
『パンツァークラウンフェイセズ

中高とも剣道部に所属。
文化的な活動とは無縁だったが、高校3年生の春、友人が文芸部に所属していた縁で、文化祭にゲストとして小説を執筆する。
そこで「おもしろかった」という感想を多く得たことが、創作を志す原点となった。
その後、大学ではノベルゲーム製作に2年間を捧げ、小説を本格的に書くようになったのは、東浩紀の「小説表現」の授業を受講し始めた、大学3年生になってから。

影響を受けた物
冲方丁川上稔深見真伊藤計劃神林長平飛浩隆村上春樹(特に最初の三人)。
アーサー・C・クラークJ・G・バラードフィリップ・K・ディックコリイ・ドクトロウジョン・ミルトンジェイムズ・エルロイ

富野由悠季押井守北野武小島秀夫スタンリー・キューブリックデヴィッド・フィンチャークリストファー・ノーランアンドリュー・ニコルマーティン・スコセッシニコラス・ウィンディング・レフン

幼いころに観ていた特撮作品や、初期の平成仮面ライダー(特に、「仮面ライダークウガ」、「仮面ライダー555」)。


・本の概要

・点数 点

ストーリー
演出
視覚的面白さ
聴覚的面白さ
熱中度

・感想
幸福の箱
亀仙人孫悟空の間にロロノア・ゾロを置くセンスは確かにピーキーだ。

奇妙な箱とかはめられたとかではなく、スタンド案件なのか?
壊された物が持つ歪さがないというのはなかなか重要なヒントかも?

露伴が解き明かす前に幸福の箱の正体が分かったかも。
この箱はヤバイね、もしも自分が選ばれたとしたら終わりだと思う反面、どういう構築になるのか気になります。

うーん、情報量が少ないから確実性には欠けますが、恐らく、千波さん好きなタイプです。

天国の扉と鍵……あーね?

愛し合ってはいるのにお互いの求める幸福が違いすぎて上手くいかない、すれ違う。
まあ……奥さんヤンデレだしなぁ~
哀しくも興味深い案件でしたよ、幸福の箱。



夕柳台
露伴先生は相変わらず性格クソだね(笑)
そして、子供にも容赦がない。

露伴先生、また好奇心に負けるのかい?
まあ、でも、リアリティを求めた結果なら仕方ないか。

見えない猿に怯える少年……か、スタンドなのか、イマジナリーフレンドなのか、はたまた……

面白い漫画を描くのに必要なのはアイデアではなくリアリティってのは分かるかも。
漫画、小説、ドラマ、映画、動画限らずに言えるのは、バズる為に必要なことは、独創性より共感力なんだと思います。
流行らせたいならやりたいことをやるよりも、より多くの人が共感する出来事を作品に反映させればいい。
露伴先生が言ってるのもその範囲にあると解釈してます。

お爺ちゃんっ子だった身としてはけっして愉快な結末ではなかったですが、罪と悪の違いとかは興味深い感じはしました。

そして、夕柳台の雰囲気は僕も好きなので、こういう場所行ってみたいです。



シンメトリー・ルーム
ここに来て本格ミステリー?殺人事件とはね、しかもモツなしアジの開き…

全てがシンメトリーな人間って果たして存在するの?
それはもう人間としては歪ですよね。

シンメトリーに拘るあまりにアシンメトリーを認めない。
そして、自分の美学を他人にも押し付ける……うん、これは確かにプロじゃないね、プロとしては失格の迷惑な奴だ。

そんなクレイジーな奴を相手に、シンメトリーを崩さずに脱出することって果たして可能なのだろうか……

全てがシンメトリー。空気の流れすらシンメトリー ……ん?空気の流れがシンメトリーってどんな原理だ?私、気になります!
と、疑問に思われるのも想定済みなのでしょう…疑問に感じるのとほぼ同時に説明してくれてくれるから親切設計だ。

シンメトリーな文字しか使えない環境下で対応する辺りはさすが露伴先生というかさすがプロって感じでした。

「読んでもらうため」に漫画を描くことと、「読ませるため」に漫画を描くことは違う。
そう、違うんだ。これが分からなければプロじゃあない。

心持ちがプロではないからそういう結末になるんでしょうね、所詮はその程度…同感です。



楽園の落穂
食べた人間の体質を変える「楽園の落穂」
それもどう変化するかは食べた人間次第で、その人に合った変化をする…か、ほう、興味深い。

そして、そんな興味深い代物を岸部露伴が口にしないわけがない……と。
まあ、そうだろうね。

あの露伴先生が食べた幸福感を人に伝えたくなるだと?
どんなカラクリを仕掛ければそうなるんだ……

子供を巻き込まない為に好奇心を自制するとは……この露伴、何かが違うね。

展開というか描写、様子的にその予感はあったけれども、ここまでとは……まさに異形と言えると思います。

ヘブンズ・ドアの打ち消しってケースは初めてかもしれませんね、脳波に異常を与えてそれが肉体に作用してるのかな?

なるほど……「楽園の落穂」の正体が分かってしまえばそれは哀しき宿命を帯びた生物でしかなかった。
ヘブンズ・ドアが掻き消されて書き換えられる理由も納得。
そして、露伴の喩えもまた美しかった。

この話はミステリーなのかSFファンタジーなのかホラーなのかその全部なのか……はたまたリアルなのか……そういう観点から見てもなかなか興味深いお話でした。



まとめ
今作の好きな順番は、
楽園の落穂→幸福の箱→夕柳台→シンメトリー・ルームです。

面白さよりは興味深さ重視の順番なのですが、最後に読んだからとかではなく、楽園の落穂はテーマ性が本当に好きでした。
このテーマで論文書いてる人いたら読ませてほしいレベルです。