・タイトル
ぼくは麻理のなか
・本の概要
友達が一人もいない大学生の《ぼく》の唯一の楽しみは、コンビニで見かけた名も知らぬ女子高生を定期的に尾行すること。
いつものようにその娘を尾行していたら突然記憶が飛び、《ぼく》はそのベッドで寝ていて、《ぼく》はその娘になっていた。
その娘は《麻理》という名だった――。
・著者情報
押見修造(おしみ しゅうぞう)
職業 漫画家
活動期間 2002年~
ジャンル 少年漫画 、青年漫画代表作
『漂流ネットカフェ』
『惡の華』受賞歴
ちばてつや賞ヤング部門優秀新人賞受賞(2002年)中学1年生の時、父親にルドンの絵や萩原朔太郎の詩などを教えられ、『ドグラ・マグラ』や『ガロ』を愛読していた。
漫画を描き始めたのは大学に入学してから。中学2年生の頃より吃音を患っており、吃音を題材とした作品『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を発表している。
同作品の単行本あとがきに、吃音が故に普段より人の表情や仕草から感情を読み取る能力が発達し、これが漫画の登場人物の表情を描く時に生かせているのかも知れないといい、また吃音のせいで言いたいことが言えなかったという心に封じ込められていたことを、漫画という形で爆発させることができた、自身が吃音でなければ漫画家にはなれなかったかも知れないという旨のコメントを記している。
・点数 84点
ストーリー☆☆☆
画力☆☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆
・評価
テーマが非常に深くて怖くもあり、唸るぐらい考えさせられる場面もあるストーリーであり、テーマ的に評価が大きく分かれそうな作品です。
個人的には好きな奥深いストーリーなのですが、分かりやすくはないので、悩みに悩んで間を取った評価にしました。
それが上手さなのかは分かりませんが、「これぞ押見作品!」という独特の雰囲気は健在で、何気ない場面と衝撃の真実の組み合わせが絶妙であり、その表現力は素晴らしく、巧いです。そこも作品の魅力でした。
ストーリーの魅力に対抗出来る程のキャラクターの魅力はないのですが、与えられた役割は明確ながら構成の影響から複雑なので、ある意味玄人向きなのかな?
世界観に関しては凝りすぎて「そう来たか!!」となる方も多いのでは?って内容です。触れればネタバレになるので概要以上のことは触れられません!(笑)
内容的に不特定多数の多くの方が不快に思ったり、吐き気を覚える可能性がある表現が含まれています。
最後まで読めば一定の理解は得られる造りですが、無理はしないように。
というのは一応書いておきます。
押見さんの作品って毒強めなんですよね(^^;
耐性がある方にはオススメなんですけどね?
以下、商品リンクを挟んで、個人的に感じた感想を書いています。
今回は極力ネタバレに考慮していますが、それでも気になる方はご注意下さい。
・感想
ネタバレ厳禁作品だと思うので、多くは語れません。それでも気になる方は単巻レビューを参考にして下さいm(__)m
読み始めと読み終わりで印象がガラッと変わりますね、これぞ押見作品!という代名詞的作品だと思います。
単なる男女入れ替わり物語ではなく、こんがらがった人間関係と、それを紐解く物語でもあります。非常に深いです。
男性は知らない女性の当たり前の部分や、逆に女性ではなく男性的な部分を全面プッシュしたり、結構生々しい描写が多いので苦手な人は苦手だと思います。
こういう作品を描ける押見さん凄いなーって思いつつ、挑戦的だなって思います。
この作品を読んで最も印象的だったのは、1巻のあとがきで本当の意味で「女性になりたい」という願望を暴露し、途中からあとがきの作者が女性になり、最終巻のあとがきでは、その願望はもうない。とし、その理由をこの作品を通して「自分の中に女性を見付けたから」と語ってました。
そこに対する意見は様々あると思います。
そして、それだけではなく、あとがきにて語られる押見さんの性やエロスに対する考え方云々は哲学的が故に理解されない場合もあるかと思います。
が、僕個人としては読んでよかったと思っています。
非常に見解が広がったので。
物事を多方面から見られる方、考えたい方には非常にオススメの作品です。
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