神黎の図書館

(将来的には)図書館モチーフのブログにしたいという意思を込めてこの名前にしました。

ガンダムSEED DESTINY ④示される世界

機動戦士ガンダムSEED DESTINY(4) 示される世界 (角川スニーカー文庫)

・タイトル

ガンダムSEED DESTINY ④示される世界

・著者情報
こちらを参照に。
gamemachine-alternativeshinku.hatenadiary.jp

・本の概要
戦争を闇から演出する組織ロゴスに対し、ついに宣戦布告をしたプラント最高評議会議長デュランダル
その声明に世界は衝き動かされる。
だが、その陰では戦火を拡大させる脅威としてアークエンジェル討伐の特命がミネルバに下されていた。
フリーダムにステラを奪われ、その復讐機会を望んでいたシンの瞳が、いま赫く燃えあがる。
大人気アニメの完全小説化第四弾。
その怒り、すべてを灼き尽くすまで鎮まらぬ運命か、デスティニー‼

・点数 76点

表現力☆☆☆☆
深み☆☆☆☆☆
芸術性☆☆☆☆
ストーリー性☆☆☆
読みやすさ☆☆☆

・感想
巻頭のカラーページのマリューさんとムウさんが淡くて切ない……

そもそもサングラスして偽名使うだけで変装したつもりのアレックス・ディノクワトロ・バジーナのオマージュだろうからこのシンに気を使ったり持て余してる感じは若干の既視感を感じます。
が、突然のデュランダルの演説が完全にシャアとダブりました。小説でもそう感じるほどの強いイメージが。

アスラン視点でアスランの心情を加味することでシンの過ちが分かりやすく見えますね、確かにキラはステラを討った。
ハイネが墜とされたのはキラのせいだ。
でもハイネを直接討ったのはガイア(ステラ)っていう事実を無視しようとしている件。
ガイアにしてもデストロイにしてもシン自身が何度も討ちかけている事実。
シンが独断行動を取らなければ「こうはならなかった」という事実。
シン・アスカが目を背けている事実は少なくともこれだけの数があります。

とはいえ、若干レイに洗脳されている感も否めなかったり、言っても精神が未熟な子供であることを考慮して、復讐に意味を持たせるならやはりステラだけではなく、大多数を救うために犠牲になったシンの家族を撃ったことになるのはキラだと主張し続けるべきだったかもしれません。
これはアニメ側のミスですが。

ここから先のアスランはもはや既視感というか、前作から何も成長してないどころか心が弱くなっているのか、散々です。
挙げ句の果てに年下の女の子に助けてもらう始末。
前大戦の英雄ともあろうものが情けない……
この成長のなさはもう……
厳しいことを言えば、アスランはむしろ駒としてのほうがいいんじゃないかな、ブレブレだし。

シンはシンでまだまだ子供なので怒ったり反発しながらも自分を認めてくれた人の期待に応えたい気持ちという実直さと周りの大人にいいように利用されてる愚鈍さと怒りに身を任せるしかない安直さを兼ね備えた「危うい存在」なのできっと読者からのヘイト溜まるんだろうなーって思ったり。

シンはデスティニーを駆り、命令通りにグフを撃墜する。
パイロットはアスラン。同乗者はメイリン

ここ最近のシンはデュランダル議長やレイに言われるままの操り人形だったが、アスランをその手で討った時、自分の行為に疑問を持ち始めていた。
しかし、そこは議長のほうが1枚上手。
巧みな言葉で再びシン・アスカの心を掌握する。

タリアは何も聞かされず、本人と話をする機会もなく部下を討たれたこと、部下を討ったのもまた自分の部下であることに憤りを感じ、デュランダルへの不信感に繋がりそうになるも、女の部分が出て自分も尋問対象という事実にショックを受ける。

そしてルナマリアは妹が脱走犯疑惑をかけられ、撃墜されたと知り、動揺する。

このようにアスランメイリンの脱走~撃墜にかけてのミネルバクルーの心情の描写がとても上手くて素晴らしかったです。

理屈では理解している。
だが、仲間として、家族として過ごした彼等への愛着が捨てられない。
割り切れない想いで憎悪はロゴスに向ける。
撃たれた者と撃った者が激情の最中で傷を舐め合うように結ばれる……と。

「飛んでるんだから下からも撃たれるぞ!」って言われなきゃ失念する奴が何故こんな奇跡でも起きない限り絶体絶命の状況で自信満々に飛び出したのか……
ルナマリアはしばらく地上戦が続いていたから全方向への注意は怠慢になるのは仕方ない……とはならねえよ、ザフトの赤服だろ、エリートだろ、しっかりしろよ。
でも怒られてシュンてなる姿は何とも言えない可愛さがあるから美少女ってズルいですよね。

アロンダイトエクスカリバーの共闘って別の意味でテンション上がるけど、 それはまた別の話。

ステラの記憶を消され、アウルの記憶を消され、ネオの記憶も消されたスティング。
記憶の殆どが消え、空白と愛機″デストロイ″への執着のみが残っただけだった、最期まで……。
この哀しさはアニメ版と同様でしたが、他のキャラクター同様、小説専用の心理描写のおかげで魂は救われたのかな?って思いました。

キラが久しぶりにストライクを駆る。
そして、新たな剣、ストライクフリーダムを手にする。
両手、両腰、胸部、八基のドラグーン……合計13本のビーム攻撃かな?キラの必殺フルバースト。

一方でシンはレイと共にフェイスとなる。
手にした力と奪った命・守れなかった命の悪夢に苛まれながら……

匿ってはいけない要人物を匿ったからオーブは撃たれる。
それは仕方ない、愚作だとも思う。

でもオーブ内ならまだしも、オーブの外にいるカガリがセイランを批判するのはちょっとイラッとしました。
批判は簡単だってユウナを評価してるけど、それはカガリもじゃん?って思ったり。

批判と駄々っ子、状況が見えてない熱血正義感、国の代表にはあんまり相応しくない気がします。やっぱりトップは冷静じゃないと。

あと、「私のオーブ」は気に入らない。
連合首長国だから何もアスハ家のものでもないし、カガリだってアークエンジェルとキラ&アスランっていう護ってくれる存在がなければ大して役に立たないんじゃないの?弱いくせに前線に出たがる大将とかお荷物だぜ?っていう。

オーブの獅子が遺した遺産?″アサツキ″
黄金の機体。
こんなもの隠し持ってたのかー、守る為の力……ね。

自分には守りたいものはない。
そう思い返す内に守りたかったもの、「ステラ、アウル、スティング」
本人すら気付いていなかったネオの本心とムウ・ラ・フラガの無意識の間で揺れるこの人は本当に優しいんだろうなぁ……

他の誰かに任せるぐらいなら……オーブは俺が撃つ!
甘さと弱さを捨てて目の前の敵を撃つと決意したシンは自ら志願して母国のオーブと戦う。アスランメイリンが生きてそこにいるとは知らずに……

民を守る為に王が前線に出るのは納得できる。
一般兵が国の未来を想って王の為の盾となるのも理解はできる。
でも一般兵を守る為に前線へ飛び出す司令官兼大将は気に入らない。弱いなら尚更。

理想を掲げるに値する力か、目的の達成の為なら何かを犠牲に出来る器のどちらかを持ってない綺麗事ばかりの無能リーダーは好きじゃないのでカガリはほんとに嫌いなタイプだなぁ~と改めて思いました。

ストライクルージュがFS装甲に電力割いてたり、アカツキが防御に重きを置いてる時点で戦闘面で足を引っ張ってることに気付けよカガリ。そして大人しくしてろよ、お姫様。
結局キラのお守りがなければ何にも出来ないはりぼてに見える。

完全復活して空から舞い降りた天使、進化した「フリーダム」
シンにとっては討ったはずの宿敵、因縁の最強の存在……

デスティニーとストライクフリーダムの戦いは初手でキラが煽るような技量の差を見せ付けた後は拮抗していたものの、逆上した上にエネルギー補給が必要なシンとデスティニーのほうが分が悪い……
それを見越したレイの指示でシンは一時帰投する。

気付けばレイがミネルバを支配している……

どうしようもない奴だけど別に嫌いではなかったユウナの死に際というのは結構衝撃的ですよね、同時に戦場の怖さも伺えます。

連合が崩壊し、勢力図としてはザフトとオーブの2大勢力となる。
世界の行く末としてはデュランダルジブリール、???の誰が勝つかで決まる……という構図ですね、???はキラ達のところではありますが、代表者を書くと次巻のネタバレになるのでここでは伏せます。

それにしてもアスランはキラ好きすぎでしょ、知ってたけど(笑)
説得材料も安心する要素もキラ、戦う理由はシンの為。
これはクワトロオマージュのせいなのか個性なのかもはや分からない。

4巻の解説はアニメでシン・アスカ役の鈴村健一さん。
最初は雑談のような内容、そして「キャラクターを嫌う理由について」、「どういうつもりでシンを演じていたかと鈴村さんの解釈」、「鈴村さんが思うシンにとってのステラの解釈」
主にこの4ブロックで構成されていました。

表現は自由なのだから受けて側の解釈も自由、様々な解釈のガンダムSEED DESTINYがあってもいいという旨のコメントは鈴村さんらしくてよかったです。


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