神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

日常の崩壊と地獄の始まり:『王様ゲーム』

王様ゲーム (双葉文庫)

・タイトル

王様ゲーム

・点数 72点(小説としての点数)

表現力☆☆☆
深み☆☆☆☆
芸術性☆☆☆
ストーリー性☆☆☆☆
読みやすさ☆☆☆☆

・点数76点(ラノベとしての点数)

設定☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆
ストーリー☆☆☆☆
作品構成☆☆☆☆
表現力☆☆☆

・著者情報

金沢伸明(ぱっくんちょ)

1982年 広島市呉市出身の小説家です。
大学を卒業後、IT企業に勤める傍ら、趣味として、モバゲータウンにてぱっくんちょのクリエイター名で携帯小説王様ゲーム』を執筆します(会社を立ち上げた時期と作品の投稿時期が同時期だった為、二足のわらじ状態だったようです)。

この著者の作品は王様ゲームだけですが、シリーズとして全12巻が双葉社から出版されています。

また、この作品は複数人の作家によりコミカライズされ、実写化、アニメ化などされています。

今回取り扱うのはこの中の双葉社により書籍化されている『文庫版の小説』になります。(第1作目です)

・本の概要

ある日、高校のクラス32名全員のケータイに”王様”と名乗るものから同時にメールが届いた。
最初は遊び半分で王様ゲームに便乗して楽しむ彼等だったが、命令は次第にエスカレートし、ついには命を懸けた王様ゲームが始まった。

・評価
タイトルはシンプルでした。昭和・平成世代なら馴染みがあったり、聞いたことはある「王様ゲーム」がデスゲームとなった設定に合っていました。
そして、ミステリー・ホラーとしては王道的な高校生が突如、クラス毎巻き込まれるデスゲームなので、若い世代向けの設定・作品と言えます。

携帯小説時代と比べると格段に読みやすくなっており、ある意味で完全版のような形になっています。

キャラクターに関しては好きなキャラもいますが、個人的には主人公である金沢伸明が嫌い過ぎるのですが……そこまで熱量を持って嫌えるキャラクターで
がいる。というのは裏を返せば、それだけ世界観に没入出来ているということなので、高評価にしてます。

小説好き、本物のミステリ好きには物足りないと思いますが、初心者入門編としては十分楽しめる内容でした。サクサク読めるのも◎


王様ゲーム (双葉文庫)


・感想
さて、今回ご紹介するのは王様ゲームという作品です。
この作品は学園、ホラー、サバイバルにカテゴライズされます。
王様ゲーム…と聞いて大多数の人が思い浮かべるパーティーの定番?(そもそも今の時代って普通の王様ゲームやる?知ってる?)のあれではありません。

ちょっと読む世代によって反応が大きく変わる可能性もありますが、まさに『この王様ゲームはオマエラの知ってる王様ゲームじゃないよ?うぷぷぷぷ…』と今にもモノクマが出てきそうな雰囲気(嘘)

真面目に言うと、普通の王様ゲームとは違うことを序盤から思い知らされます。
そこがこの作品に引き込まれる第1ポイントと言えます。

ちなみにルールそのものを見る限りだと、イメージした王様ゲームになぞらえたチェーンメール(いたずらメール)と思います。

ルールはこちら

1.クラス全員強制参加です。
2.王様から届いたメールに24時間以内に従って下さい。
3.命令に従わなかった場合は罰があります。
4.王様ゲームを途中でやめることは絶対にできません。 以上

なお、ストーリーの進行(王様ゲームが命懸けになって以降)は4のルールの中に王様ゲームを着信拒否にしたり、携帯を解約すると罰が下るようになり、『絶対に途中でやめられない』という理不尽さは強調されて描かれています。

好きなキャラクターについて書きたいですが、この手の作品ではそれそのものがネタバレになるので控えます。
代わりに嫌いなキャラは金沢伸明です。ってことを言っておきます。

これは作品全体に言えることですが、物語性や発想、着眼点は素晴らしくてもやはり元は携帯小説、稚拙ささが目立ちます。

それが如実に現れていたのが主人公の伸明かなー。って印象です。
いや、そういう作風なんだろうから別にいいんですが、彼のセリフや存在でいろいろ台無しになる場面もちらほら見受けられたのでそこは残念です。

とは言え、元々携帯小説というのはあまり書籍に馴染みのない世代の為に生まれたものだと思うので、そこら辺の文化の違い?をとやかく言うのも違うと思います。

僕は元々、携帯小説時代の王様ゲームを読んでいました。
その頃はまだ連載途中で、毎日更新を楽しみにしていたのを覚えています。
それこそ当時は児童小説しか読んでないような頃だったので、文学的な小説を引き合いに出して稚拙と言うのはお門違いかな?って個人的には思います。

少し話は逸れましたが、そうなんです。
元々は携帯小説として読んでいました。
そして、楽しみにしていた若かりし僕が王様ゲームを読んで「ん?」って思い始めるのが章タイトル『夜鳴村』のところでした。
感覚的なものだったので、具体的な違和感を覚えてないのですが…

そして、そこからはここまで読んだからせめて最後まで読もう。という意識に変わり、結末というか、『王様の正体』にうーん…ってなりました。
つまらない…納得いかない、と。
書籍の話は聞きましたが、お金払ってまで見たくない…というのが当時の素直な感想でした。

そして時は流れ、成人した頃、たまたまマンガ版の王様ゲームを見かけました。
懐かしいな、と、ふと手に取った時、無印版のコミカライズの担当作家である連打一人さんの描く金沢伸明夜神月に見えたことで思わず買ってしまったのです…(ちなみに昨年アニメ化された王様ゲーム金沢伸明宮野真守さんでやっぱりイメージ的には夜神月なの?って思いました)

コミカライズのほうは1~4巻は面白くて一気に読みました。
でも5巻は…ページを読み進める手も重く、読み終わった感想はやっぱり納得いかない!読者をバカにしてる?でした。
多分元の原作をかなり忠実に再現してたんだと思います。

携帯小説、コミカライズ共に終わり良ければ全て良し。のまさに逆だったので不満点のほうが強く残ってしまって、後味の悪い印象の王様ゲームでした。

では、何故わざわざ購入して読んだのか?
そのきっかけは書評ブログを始めるなんて思ってもなかった今年の初め頃、ネットでいろんなブロガーさんのおすすめ小説を見ながら何を買うか決めていると、おすすめ小説100選の中に入っていました。
王様ゲーム
それも1人の方だけじゃない。

ふむ……そんなに面白くなったのか?
いや、でも多分このブロガーさんは同世代…何かしらの補正の可能性も……
半信半疑ながら、答えは読まなきゃ分からない。
そう思って買いました。
読みました。

結果……普通に面白かったです。
エブリスタという小説投稿サイトには今も『王様ゲーム』の原作小説は無料で読めます。
書籍版とは異なる結末の作者が本当に書きたかった云々かんぬんはこの無印版とは関係ないので割愛します。

携帯小説としての王様ゲームは普通に小説にも文学にも馴染みの出てきた側からすると読みづらい印象を持ち、表現方法も含めて今の自分には合わないと感じましたが、双葉文庫王様ゲームは違いました。

目次のページをめくってすぐの4ページ、

陽が傾き、妖艶な美しささえ感じさせる黄昏が訪れた。

いやいや、冒頭にそんな表現なかったよね!?
ちなみに、この日の日没はいつもに増して綺麗っていう意味合いですよ!

結局稚拙とか痛いとかダサいとか思うかもしれせんが、携帯小説版から見守ってる?身としてはちょっと感動しました!
ちなみにラストの『王様の正体』については納得しました。
この流れなら続編があることも納得しました。
そういう意味での評価も含まれています。

・まとめ
読者家の人にオススメするにはちょっとあれですが、小説を読むことにあまり馴染みのない人にオススメする小説としては候補に上がるぐらいの内容には仕上がってると感じました。

最後に『単行本に大幅加筆・修正を加えました』とあるので、そこは注意が必要です。

あ、ちなみに最初をモノクマを挟んだのはちょっとした遊び心(イタズラ心)ではありますが、作品のテーマが若干似通っていることと、ヒロインの1人である莉愛がどことなく霧切さんを連想させた(ソシャゲ版のキャラクターデザインやCV日笠陽子さん等)ので入れてみました。
驚かせてすみません。


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