・タイトル
復讐教室
・本の概要
クラスで酷いイジメに遭っていた藤沢彩菜は、ある決意をする。
「クラスメイト全員に同じ地獄の苦しみを味わわせてやる」
見え隠れするイジメの首謀者。
黒幕は親友なのか、それとも……
全員狩るまで終わらない。クラスメイト28人への命懸けの復讐劇が幕を開ける。
・著者情報
要龍
ゲーム好きで徹夜より早起きが苦手。
・点数 72点
ストーリー☆☆☆☆
画力☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆
設定☆☆☆☆
没入感☆☆☆
・評価
「復讐」をテーマに小説を読まない若者向けの罪と罰的な作品と言えなくはないです。
クラスメートに復讐していくという意味ではわりと一環しています。
メッセージ性もありました。
ただし、終わり方は少しふわっとしているので、満点ではないです。
凄惨な描写や絶望の表情の表現は素晴らしいですが、同ジャンルの中で特別優れているとまでは行ってないので少し辛めに。
基本的には復讐対象とその目的、方法がテンポよく展開されていきます。
救いようのないクズと勘違いによる復讐が混合することで崩壊していく精神というのも面白かったです。
期待をし過ぎると拍子抜けをしますが、一定の面白さはある。そんな感じです。
以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
・感想
イジメ×復讐×学生のテーマで描かれ小説が原作です。
かつてのエブリスタ系って感じします、王様ゲームのお仲間って感じします。
別に嫌いではないですよ?
前提条件として軽く説明しますと、元々は主人公の「藤沢彩菜」に落ち度はなく、ただし読み進めればイジメ主犯格にはそれなりの理由があり、何とも言えない複雑な部分というかデリケートな悲しい事件でした……という言うしかない。
見てみぬフリしてる側の男子の中に、友達がフラれたからいじめられて「ざまあみろ」って内心思ってたって奴いたけど、コイツらだけは擁護する気ないです。
何故か?藤沢彩菜がクラスメイト全員に復讐を決意するきっかけになった「命の危険に及ぶイジメ」があるからです。
フラれた子が逆恨みしてるならまだしも外野がほざくなって感じですよね、君らの大事な友達の気持ちを無視したという意味なら君らも同罪だよ。
とまあこんな感じでモブに対しても不要な苛立ちを感じてしまうほどには楽しんで読みました。
小中学校の道徳で習いましたが、イジメは「する側」も「見てる側」も同罪。
その観点から言えば、藤沢彩菜のクラスメイト全員に復讐は当然の権利だと思います。
殺らなきゃ殺られるという環境下で善悪もクソもないと思いながら読むのがベストだと思います。
そして、クラスメイトを無差別に狙うのかと思いきや、復讐の仕方にムラがあるわ、計算外に弱すぎるわ、精神的に不安定過ぎて隙ありすぎるわで折り返しの4巻ぐらいから失速気味に感じました。
まあ、でもそこが中学生・元いじめられっ子という設定から来るリアリティっぽい気もするので途中は気になりましたが、読み終わって振り返ってみればおかしくはないのかなぁ~と思いました。
また、折り返し辺りから藤沢彩菜にとっての想定外も多くなり、風向きが変わるというか、復讐を果たしていく藤沢彩菜も誰かにとっては駒でしかない。
悪いのは誰か?
作品を通じてエピソードタイトルにある◯人目が地味に作品を読み解くヒントだと思ってます。
藤沢彩菜の意思に反して起きたこと、知らないところで起きたことまで数に入れられているということはつまり……?
復讐の代償と影響力の2つが最終的なメッセージ性なのではないか?と、僕は捉えました。
復讐は成否に限らず身を滅ぼす。
そして、刺激的な事件の報道は模倣犯ないし類似の事件を引き起こす。
最後に伝えたかったのはそういうことではないかな、と。
テーマ的にもなかなかに興味深い作品で、個人的には比較的満足した作品でしたが、この作品はある程度の文章読解能力がないと読む意味はないんだろうなって感じました。
単なる復讐劇ではなく、「復讐教室」の意味やとある登場人物の分かりづらい心情をどの段階で読み解けるかで評価が変わりそうなぐらい繊細な作品でした。
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