・タイトル
キーチ‼
・本の概要
幼稚園児の染谷輝一は、誰とも群れず、自分だけを信じる乱暴者。
可愛げのないその破壊的性格に、周囲の意見は賛否両論だった。
母は輝一の所業に謝りどおしで、一方の子煩悩な父は息子の成長をビデオに収め、顔が緩みっぱなし。
少し人とは違うけど回り回って幸せな、そんな日々が続くと思っていた。
・著者情報
新井英樹(あらい ひでき)
生年月日 1963年9月15日
出身地 神奈川県
明治大学卒業漫画家を目指すために文具会社を退職し、作品の投稿を始める。
ちばてつや賞入選などを経て、1989年に『8月の光』がアフタヌーン四季賞夏のコンテストにおいて四季大賞を受賞しデビュー。
デビュー当初は非常にソフトで柔らかいタッチだったが、後に反社会的な表現を多用する現在の特徴的な作風になった。第38回(1992年) 小学館漫画賞青年一般部門受賞『宮本から君へ』
ゼロ成長論を提言した経済学者の下村治の「経済成長よりも完全雇用がそれに先立つ」という考え方を素晴らしいと思ったと語っている。
・点数 96点
ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆
・評価
内容としては賛否は真っ向から分かれそうなストーリーですが、分かりやすいと言えば分かりやすい。
そして、主人公の軸がブレないので、作品のテーマとしては終始一貫しています。
上手さではなく巧さという意味の、がりょくではなく、えぢからのある作風です。
いずれかの新井作品の読者には分かるかもしれませんが、キャラクターの抱いている感情がダイレクトに伝わる力を持っています。
こちらも賛否が割れそうなキャラクター面。
エゴが強い部分と、人間関係が及ぼす影響力を伝える構成力には引き込まれます。
内容が凄惨な過去を背負った子供がメインの社会派ドラマとエゴによる世直しなので、見応えのある設定です。
様々な感情を抱きながらも、熱中して読んでしまう力がこの作品には込められています。
続きが気になり、貪るように読み進め、そのまま続編を読みたくなる作品でした。
以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
・感想
基本的には概要通りの内容です。序盤はね。
概要の最後の不穏を匂わせる内容が肝です。
少しフォローすると、破壊的、暴力的とありますが、僕には悪は許さない真っ直ぐな性格に感じました。
ただ、だからと言って暴力で解決していいのか?と問われれば、それはダメだろう。というそういう問題な気がしました。
賛否両論分かれるのも当然の内容なのですが、僕としては、輝一は自分の中に確固たる正義(信念)を持っていて、その信念を貫いて行動する真っ直ぐな性格だと捉えています。
だからって暴力に訴えるのはどうなの?っていう堂々巡りをずっとします。
輝一の正義が正しいかは置いといて、どっちにしろ個人の意思はエゴなんですよね、つまりは究極のエゴイストとそのカリスマ性に惹かれて集まる人の起こす世間に対するデモ、世直しとも言えます。
輝一自身が凄惨で壮絶な人生を送り、マスコミによって有名人にさせられた存在であり、そんな彼だからこその子供とは思えない発想と行動力に驚かされました。
所詮子供だと差別したり、否定しか出来ない人には勧められません。
客観的な視野を持つか、見識の広い方、自分と他人の割り切りが出来る大人の方には読んでもらい作品です。
そんな社会派ドラマな深い部分と共に作品の魅力と言えるのは、輝一の周りを取り巻く人間関係です。
祖父母や仲間との関係が素晴らしい。
反して見てて不快感しか抱かないクズも現れます。
キーチ‼を見て一番思ったのは、子供は本当に周りの大人をよく見ていて、多大なる影響を受けるということです。
子供は親を写す鏡の側面もあると思います。
この作品には続編があり、『キーチ‼』は輝一が4歳~12歳までの話となります。
社会派+人間ドラマとしてとても面白い作品でした🙆
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