神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (BUNCH COMICS)

・タイトル

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

・本の概要

「自分の母親だけは絶対に死なないと思い込んでいた」
最愛の母のがん告知、闘病、葬儀。
死後も淡々と続く日常の中で作者が発見したこと、現実と真摯に向き合う過程で見えてきた″母の死″の意味とは……
どこか勝手の違う″母親がいない世界の違和感″を紡ぎだした作者の自伝エッセイ漫画。

・著者情報

宮川さとし

1978年生まれ 岐阜県出身

大学卒業後は地元で学習塾を経営していたが、漫画家を志し上京。
漫画教室『古泉智浩 池袋マンガ教室』へ通い、2012年に漫画家デビュー。

代表作
情熱大陸への執拗な情熱』
宇宙戦艦ティラミス
母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。
『東京百鬼夜行

『ベビモフ』、『そのオムツ、俺が換えます Sサイズ』を不定期連載。

・点数 88点

ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆
キャラクター☆☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆

・感想
タイトルは衝撃的ですが、共感出来る部分は多かったです。
奥深いテーマというか、人間なら誰しも通る道なので、とても勉強になるというか、覚悟を決める下準備が出来る作品でした。

画力では売ってない作品ではありますが、だからこそ伝わってくる想いがあるというか、泣けます。

少数精鋭の必要最低限のキャラクターではありますが、この部分が泣ける要素の大部分を占めています。

自己の経験を他者に置き換える力が強い作品でした。
なので、実話の物語として涙する部分と、自己投影・リンクして涙する部分の二重構想で重厚且つ分かりやすい世界観になっていました。

読んでる最中、読み終わりしばらく、共に没頭し、いい意味で読み終わりに軽い放心状態を経て自分が一歩前に成長出来た気がする作品でした。
読んで損はない作品だと自信を持って言えます。
僕がどれぐらい感情移入したかは後述で判断して頂けたら幸いです。


以下、商品リンクを挟んで、個人的に感じた感想を書いています。
今回はネタバレ控えめで自己投影して感じた感想が中心です。
とは言え、内容が伺えないとも言いきれないので、ネタバレにシビアな方はご注意下さい。



ずっと気にはなってたけどある意味読みたくなかった作品です。
タイトルで敬遠していたのではなく、まだ、親を亡くす覚悟ができていないから……

食べたいとは思わないけど、葬儀のお骨について思うところがあるのはわりと誰もが共感できるのではないでしょうか。

煩わしく感じていたことをありがたく思うとことか今でも共感出来て早くも泣きそうになりました。
だから読みたくなかったんだ……

ダメだ、序盤から涙が出すぎで読み進められない……
亡くした祖父母に対する気持ちがリンクしたり、実は密かに親が自分に書いてくれた手書きの文字は保管してある身としては痛いほど分かるので、安っぽくなるのを承知であえて言うと、号泣しました。
だからこそ言えるんですけど、この作品はお正月に実家で読むものではないですね……いつ親が来るか分からないので号泣してたら不要な心配かけちゃいます。危なかった……←鉢合わせして紙一重でした。

そういえば祖父は僕の話をニコニコ聞いてくれてたっけな。
祖母はしつこいぐらい心配してくれてたっけ。
故人を思い出すきっかけにもなりますよね、ほんと涙無しでは見られないです。個人的に。

形見については有効活用してくれる人が持っておくべきものだと思う……
けど、亡くなった人の財布の中身についての見解については分かる気がします。
お金はただのチケットで、溜め込んでたレシートは生きてた証明書のような気がするという部分……皆さんもそんな気がしませんか?

母を亡くすのと伴侶を亡くすことのどちらが辛いのか?なんて計り知れない……仲よかったら尚更。
これに答えはないと思う。
息子としては弱々しく萎んでいく父の姿を見るのも辛いのでほんと男は弱いなって思います。

偲び方は人それぞれ。ほんとにそうだと思います。
兄弟の上か下か、既婚と未婚、子供の有無または子供の年齢など、立場によって感情を前面に出す出さないは変わると思います。
態度が違うからって偲んでない訳ではない。
葬儀の時の温度差は僕も感じたことがあります。個人的には多くを語らずに感傷に浸るタイプなのでそういう意味では作者さんとは異なる偲び方になります。

確かに、精神的にどん底に落ちていても残った家族や親族の支えでなんとか立ち直って故人の話で盛り上がって笑えたり、悪口言われても聞き流したり出来るようになる。それが一周忌ぐらいだった気がします。
多分、これは何度繰り返してもそうなんだと思います。

『死』の意味についてはほんとに深かったです。
作者さんの考え方もですが、その礎になっている高校時代の教師からの言葉も良かったです。
ここは一連の流れの中で読んでこそ響くので気になる方は是非読んでください!

1巻で完結する短い漫画ではありますが、最初から最後まで、作者さんのあとがきコメントまで素晴らしかったです!

母に限らず、親や兄弟(姉妹)、祖父母、妻・旦那、叔父・叔母、恋人、友人、先輩・後輩、恩師・恩人など大切な人や家族のように接してきた大切なペットを亡くした経験がある方には刺さる作品だと思います。

僕のブログの採点方式だとどうしてもこういう点数になってしまいますが、感動度と心に刺さった度で言えば120点ぐらいなので、この作品に関しては点数で計り知れないオススメ度です。

前に進むための勇気と覚悟をくれ、元気をもらえます。
亡くした大切な人を思い出したり、今後訪れる両親との別れを想像して読みながらたくさん泣いた分、最後には前向きになれる、そんな力を持った作品です。

作者さんや周りの方々が温かい心の持ち主なのでそれが救いになります。
また、自伝エッセイなのですが、ただ時系列順に語るのではなく、心にしみる順番で構成してる技術が作者さんにはあります。

逃げることよりも向き合うことの大切さを教わったので本当に読んでよかったです。


コミック

電子書籍


実写化もされてるみたいですね!
キャストが渋くて素晴らしい!
個人的にはお母さん役のキャスト見たときに目頭が熱くなりました。
これは漫画を読んだ人にしか分からない特権ですね!

映像作品

検索で引っかかったおまけ

おまけ

おまけ2