・タイトル
賭博破戒録カイジ
・本の概要
人気の賭博コミックが第3章「欲望の沼」に突入!
利根川が失脚後、不遇をかこっていた遠藤に渡された劣悪債務者リスト。
そこには忘れもしない伊藤開司の写真が!
彼を見つけ出そうとする遠藤の前に、当のカイジが現れて、ギャンブルを紹介してくれと頼み込む。
しかし、カイジにその場で確保されて、地獄のような強制労働施設に連れて行かれ……。
・著者情報
福本伸行(ふくもと のぶゆき)
生年月日 1958年12月10日
出身地 神奈川県横須賀市
職業 漫画家・漫画原作者
活動期間 1980年~
ジャンル 青年漫画・少年漫画
代表作
『アカギ』
『銀と金』
『賭博黙示録カイジ』
『天 天和通りの快男児』
『最強伝説 黒沢』
受賞
1998年:第22回講談社漫画賞『賭博黙示録カイジ』かざま鋭二のアシスタントを経て、1980年『月刊少年チャンピオン』連載の『よろしく純情大将』でデビュー。
幼少時は『パーマン』などの少年漫画を読んで育ち、高校では建築科に進む。
強さに憧れ、空手やキックボクシングを経験。
高校卒業後、建設会社に就職し、現場監督の仕事に就くも、仕事がつまらないと感じ、何か一発当てようと漫画家を目指した。ギャンブル漫画の第一人者として知られ、緻密な心理描写・強烈な人物描写が特徴。
作品の多くは、極限勝負に身を置く男達の姿が描かれ、数多くのオリジナルのギャンブルを生み出している。圧倒的なストーリーの面白さが評価される一方で、キャラクターの作画については漫画家としては非常に低く、逆にそれが独特の魅力となり持ち味となっている。
好きなギャンブルは麻雀、大小など。
・点数 80点
ストーリー☆☆☆
画力☆☆
キャラクター☆☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆
・評価
ゲーム内容が「チンチロリン」と「パチンコ」となったことで、平たく言えば「じゃんけん」、「綱渡り・平均台の類い」、「カードゲーム」というシンプルなものから大きく変化し、かなりマニアックなものとなっています。
しかもカイジ特有の特殊ルールも追加されるので、分かりやすさは減少していると言えると思います。そして何より絵面が地味。
画力を前作より高く評価した理由は二転三転するキャラクターの心理や表情の表し方が面白く、演出としてよかったからです。
逆にいい味出てました!
キャラクターの評価は文句無しで満点です。
カイジ自体も諦めと堕落、歯車としての立場からの逆転、這い上がる為の機転等の成長著しく、且つ協力者の存在が大きい。カイジの世界では珍しいかと思われます。
登場キャラクターの殆どが己の役割を果たし、更にそれぞれのボスキャラはどちらもスピンオフの主人公として単独の漫画が出る程の人気であり、カリスマ性があります。
内1人は年齢も若く、前作のボスのようなエリートではなく、言うなれば奴隷から這い上がった叩き上げであり、主人公のライバル格として相応しい風格と人気を誇っています。再登場を願ってる声も少なくはないはず?
「地下チンチロリン」に「沼(1玉4000円、勝てば1億のパチンコ台)」と金稼ぎの為に仕組まれた狡猾なイカサマ術と突破術、イカサマvsイカサマ封じの応酬が面白く、非常に練られていると感じました。
勝負の中で人間性が見えるのも良かったです。
チンチロリンもパチンコもやったことがないのでルール的には難しいとは思いつつ、作品として読む分には楽しみながら意外とサクサク読めました。
そして、とあるキャラクターに対して感情移入し過ぎる程には没頭し、読了後には拍手したくなる程の満足感がありました。
これらはあくまでも個人的な感想なので悪しからず。
現時点ではカイジのシリーズの中で最も好きなエピソードでした!
以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
・感想
第3章 欲望の沼編のメインイベントはカイジと同年代にして帝愛グループが秘密裏に経営している闇カジノの経営者である「一条聖也」との対決(一玉4000円のパチンコ)、7億という大金と破滅を賭けた大一番の勝負になります。
が、その前に地下の強制労働施設での劣悪な環境、ここぞのタイミングで甘い誘惑、そして巧みな話術によって新人を食い物にする大槻班長との熾烈な争いがあります。
カイジと班長の対決は大槻さんが考えた絶妙なルールを採用した地下チンチロリン。
前座と言えば前座なんですが、ドン底から這い上がる為のきっかけ、資金や仲間の確保、また、前作に登場した石田さんの息子さんも登場したり、破戒録のラストシーンにも繋がるので、地下での出来事も大事です。
カイジが自分を底辺のクズだと認め、自分1人じゃ勝てないから徒党を組み、仕切る。
信頼を得て勝負に挑む。
という姿はある意味では友情・努力・勝利の体現だったかもしれません。
外に出てからも、カイジの「何としてでも勝ちにしがみつく執念と意思」を見込んだ数千万を抱えた見知らぬおじさんに見込まれて仲間になったり、かつての敵を仲間に引き入れたり、自分が損する立ち回りでもみんなの勝利の為に奮闘したり、お人好しと話術、更に機転と閃きに磨きがかかっています。
対する一条さんは若くして出世コースに乗るエリート……ではなく、煮え湯を飲み、屈辱に耐えながらもその手腕と閃きで利益を生み出し、店を任された叩き上げ。
そんな2人はライバルと呼ぶに相応しいと思います。
作品が終わる際の最後の章では共闘もあり得ると思ったのですが、会長の息子の和也が出て来てしまっているので、そこら辺は分かんないです。
ちなみに僕は破戒録までの内容しか知らないので、詳しいことは分かりません。
和也が主役してたとか何とか聞いたことがあるぐらいです。
破戒録の話に戻ります。
カイジと一条さんのバトルは一進一退の長期戦で、パチンコというシンプルなギャンブルを選んでここまで魅せる福本さんの手腕が凄いと感じました。
一条さんの容姿端麗な見た目という設定は正直描ききれてないと思いますが、会長が「奴の顔は昔から気に入らなかった。利益を生むから仕方なく使ってやってた」というセリフで補った上にお互いが嫌いながらも利用し合っていた事実を表現したのは見事でした。
一進一退が故に、カイジ・一条共に様々な表情や煽り文句を吐くのもこの破戒録の魅力であり、売りだと思います。
更に続くことを抜きにして考えれば、破戒録編としての読み終わりはとても良く、充実してました。
・まとめ
絶望の中にこそ希望があり、諦めなければ光を掴める可能性は残されている。
破戒録編から学び取った教訓はこれでした。
原作・アニメでは仲間に引き込むかつての敵は遠藤さんですが、実写版では利根川さんであったり、一条さんの叩き上げが鉄骨渡りからの逆転出世に変わっていたりします。
カイジとの対比からして、実写版のほうがややライバル感上がってるかもです。
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