・タイトル
ひぐらしのなく頃に解 祭囃し編
・本の概要
時は遥かに遡る。ごく普通の少女・田無美代子は、事故で両親を失ってしまう。
孤児院へ行った美代子を待っていたのは凄惨な虐待だった。
そしてそこから、昭和58年6月の雛見沢へ至る、運命の扉が開かれていく……。
「ひぐらしのなく頃に」シリーズの完結編がついにスタート。すべての謎が明かされる――!!
1巻より
「ひぐらし」シリーズを貫く鍵、「連続怪死事件」の真相を軸に、鷹野・入江、そして沙都子の知られざる過去が明かされていく。
2巻より
奇跡を求め、梨花は仲間たちに真実を打ち明けていく。
巨大すぎる敵の存在に動揺する一同。
しかし、皆は決然と立ち上がる。
友のため、仲間のため、誓いのために――。
運命は打ち破れるのか?
熱い想いが魂を震わせる
5巻より
長い旅路の果て、梨花が得た答えは――。
昭和58年6月の雛見沢をめぐる物語は、いまここに大団円を迎える。
社会現象を巻き起こした大ヒットゲーム「ひぐらしのなく頃に」。その物語を全編完全コミック化した空前のシリーズ、ついに本伝完結!!
8巻より
・著者情報
鈴羅木かりん
鈴羅木 かりん(すずらぎ かりん)
誕生日 8月3日
職業 漫画家、イラストレーター
出身地 愛知県主にスクウェア・エニックスや宙出版のコンピュータゲームを題材にしたアンソロジー集に執筆。
『ガンガンパワード』及び『月刊ガンガンJOKER』で2005年より「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」「罪滅し編」「祭囃し編」「賽殺し編」の4編を連載。2007年『電撃「マ)王』11月号から3月号まで『ワイルドアームズXF』のスペシャルコミックを連載。
2008年1月刊の集英社・スーパーダッシュ文庫『征服娘。』で挿絵を担当、同年『月刊少年ライバル』8月号から『アウトコード 超常犯罪特務捜査官』を連載。
・点数 96点
ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆
・評価
前提条件として、ある程度の読解力or理解力は必要とされますが、ここまで重ねてきたシリーズの完結編(解答編)としての分かりやすさは抜群でした。
たった1人の意志が世界にここまで影響を及ぼすのか⁉️という部分に関しても納得のいく説明と描写(演出)で魅せてくれましたし、何よりも奥深いエピソードなので、ストーリー項目は文句無しの満点評価です。
特定のキャラクター(と言っても、完結編はオールスターでもあるので大抵のキャラクターが該当)の表情の変化や心境の変化、決意の固さ・強さにおける描写力に優れていて、内容に反して読み心地もよく、心に語りかけてくるような躍動感もありました。
ひぐらしのなく頃に本編ラストの難しいエピソードをコミカライズする為の創意工夫を感じました。
このエピソードはここまで影に隠れていたキャラクターや実は暗躍していたキャラクター達にスポットライトが当たります。
これまでの語り部である梨花ちゃん視点では見えてこなかった大人達の格好よさとか信念の部分の描き方がとても上手でした。
知ってる人は知っている部分ですが、黒幕であるキャラクターを単なる害悪や世界の敵に見せない、1人の確立された魅力的なキャラクターとして仕上げているところに最大の賛辞を贈りたいです!
設定に関しては、原作があるので、竜騎士07さんの功績が大きいということにはなりますが、コミカライズ版の尺に対しての構図とテンポが個人的にはめちゃくちゃ好きです。
分かりやすさと読みやすさが強いので、これは鈴羅木さんの原作に対する解釈力と翻訳力の高さを感じました。
お二方共優勝です!!
原作・ゲーム・アニメ・小説なりで展開を知っていたとしても、キャラクターの動かし方の上手さに熱狂し、続きを読みたくなって手が止まらず、読了後の満足感がとにかく良い。
それがコミカライズ版の『ひぐらしのなく頃に解 祭囃し編』でした。
最高の時間とコミカライズをありがとうございました!!
以下、商品リンクを挟んで、内容に触れた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
・感想
解の最終章……ということは、ひぐらしのなく頃にシリーズの最終章。
そんな今回のシリーズ『祭囃し編』は1巻から謎解き(出題編)の種明かし(解答編)が凄いです!
開幕の主人公を務めるのは前原圭一でも各ヒロインでも北条悟史でもなく……田無美代子という初出のキャラクター、ごくごく普通の少女でした。
そして、その話は本編の時間軸より過去になります。
時系列が過去であることと太字から推察出来ることは……?
つまり、そういうことです。
構成の都合上、1巻の内容は吐き気を催す邪悪とも言える胸くそ悪い展開ですが、その全てに意味はある。
その攻めた姿勢の『ひぐらしのなく頃に』が好きです笑
言ってしまえば、1巻の主役は黒幕の少女時代です。
この凄絶で壮絶な経験を越えて大事な人の為にたった一人で全てを犠牲にして目的を遂行する黒幕の想いがあってこそのひぐらし特有の強制エンドルートということになるのです。
視点を変えた場合、この黒幕はどんなに頑張っても時間を戻される哀しき運命にあるアンチテーゼと言えると思います。
僕はそんな黒幕に感情移入してしまいます。
これは始めてアニメを見た時にそうでした。
それを踏まえた上で読みまして……見事な再現率と補完性の高さに脱帽でした。
そして、ある意味ぽっと出であり、ある意味憎しみの対象でもあるこのキャラクターを喜怒哀楽全ての感情と表情が読者に伝わるように描かれた画力が本当に素晴らしく、これまでも過去シリーズでコミカライズ担当されてましたが、最初と最後のエピソードを任されるだけあって、ひぐらしのなく頃に×鈴羅木かりんさんは本当に最高だと感じました。
解釈力が抜群なので、原作やアニメから入ったファンの方も楽しめるし、思い出を壊されない、尚且つ新たな気付きも貰えるという最高のコミカライズって思ってます。
2巻は北条兄妹にフォーカスが当たるので、ついに悟史が誰かの記憶や思い出の中ではなく、ちゃんと本格的に登場します。
ここら辺も最後の種明かし(解答編)らしく、時系列に沿って丁寧に描かれている印象があります。
北条兄妹にフォーカスを当てつつ、これまで謎に包まれていた「入江京介」というキャラクターについても描かれています。
そして、雛見沢症候群の末期患者の症状と向き合い方についても描かれています。
1巻はきっかけとも言える過去、2巻は作品の本質に迫る事実が明かされる形でした。
3巻の内容は更なる本質というか、真髄。
『ひぐらしのなく頃に』の世界観そのものに関わる事実を改めて再確認しながら情報を得ていく感覚でした。
そもそもこの世界にとっての古手梨花とは?っていう部分の確認と、梨花ちゃんのみがループしてる理由とかその辺も徐々に明らかになります。
が、3巻のいいところは、ほぼ全てのシリーズで必死に生き残ろうともがいていた梨花ちゃんの生きる意思の覚醒と覚悟+母の愛vs.黒幕の純粋な愛から始まった歪な正義のぶつかり合いにあります。
この辺は大人になってから読むとハッとさせられる部分があるので、この祭囃し編は最低でも人生で2回以上は楽しめる作品なので、買って損はないです。
3巻の見所部分としてはついに明かされた悟史の事件の真実、大石さんが隣町の雛見沢にわざわざ足を運んでまでこの事件に拘る理由、このそれぞれも明かされます。
4巻はついに前原圭一が登場!
ということで、ここからが馴染みある時間軸のひぐらしのなく頃になんですが、4巻の暴動では本編の少し前の時間軸なので、新しい風こと圭一くんは凶悪な顔つきをしています笑
そこら辺は過去シリーズで明かされているので分かっているものの、凶悪顔の圭一くんは意外とレアなので気になる方は是非w
前原圭一は梨花側の切り札で黒幕側のジョーカー的存在。
そんな彼とは別に、満を持して本人の意思でこの世界に参入する形で入ってくるのが羽入です。
この子が何者なのか?っていう部分も含めて、御三家の1つ・古手家の歴史についても明かされますね、こちらも哀しい。
本当に……感情移入のさせ方が上手いです。
この作品は魂レベルで感情を揺さぶられることが非常に多かった。
5巻はテーマが「希望と絶望」ということもあり、読んで字の如くでした。
無限ループと思われたその力にも綻びが…?
という部分からのこれまでの古手梨花・羽入に欠如していた「仲間を信じる」という流れは激アツです。
更には幾重に繰り返してもなかなか現れなかった梨花ちゃんの待ち人こと赤坂さんも本格的に参戦!
赤坂さんと大石さんは実質バディなので、作中の頼れる大人が味方に付きつつ、何かの奇跡で部活メンバーが全員覚醒状態!
という梨花ちゃんにとって最高の環境が整いました。
5巻のラストは最終決戦の前夜、6巻は最初からクライマックス!
ひぐらしのなく頃にの名シーンが連発されるある意味では最大の見せ場でした!
個人的には詩音ちゃんの特攻シーンがお気に入りです!
セーラー服と機関銃みたいで好きです!
後は赤坂さんが格闘スキルの高さで魅せます!
これは惚れるぜ!!
三四と美代子のエピソードタイトルから始まるので、黒幕であり、主人公サイドから見た悪の象徴である鷹野さんを蔑ろにしてないところが個人的には本当にポイント高いです。
鷹野さんは裏主人公だと思っているので、ここの描き方を間違って感情移入させられないとかただの嫌われキャラにしてしまうとかすると、世界観の再現にならないので、本当に素晴らしかった……さすがの鈴羅木さんでした!
部活として数多のシチュエーションでのシミュレーションバトルを繰り広げてきた部活メンバーは模擬戦においては精鋭(+でそれぞれが背負い、経験してきた過去と罪を受け入れる精神力を兼ね備えている)のが圭一たち部活メンバー、対するは本物の実戦を積んできた戦闘のプロ。
緊迫した展開が続くのかと思いきや、ギャグを織り混ぜつつ、小気味よいテンポで展開される「ひぐらし特有のフィールド」をきちんと再現していて、とても読みやすかったです!
強いて言うなら、小気味よさと引き換えに、トラップマスターや口先の魔術師などの奇想天外摩訶不思議な突飛な発想の持ち主たちの集団相手とはいえ、プロが出し抜かれる程の十分なトラップや心理戦だったか?という部分には些か疑問は残るので、これまでの心理描写に長けた強みから考えると、少しだけ残念な部分はありました。
が、そこはどっちかっていうと原作側の問題なのかなー?って気もするし、尺の都合とか読みやすさ等を総合的に考えると、これでよかったのかもしれません。
マンガとしての技術点をあえて付けるとしたらかなり高いのではなかろうかと思います。
8巻はまず、表紙がいいですね!
お馴染みの(初期からのレギュラー)メンバーwith羽入っていうのが最高にクール!すばらです!
何で羽入がいるかについては読んでもらえば…なんですが、少しだけ明かすと、神としての役割を全うする大事な役割があり、羽入もまた、最高にクールだったから!だと僕は思ってます。
本編の最終巻なので、圭一から見た最初の部活メンバーが表紙であるべきなんですが、見えてないだけでそこに確かにいた羽入にだって権利はある!って思ってます、はい。
これはすごく個人的な感覚の話ですが、鈴羅木さんの描くコミカライズ版のひぐらしのなく頃にの表紙並べた時の「この並び、よき」って感じがたまらないので、最終巻の表紙がこれでめちゃくちゃ満足です。
祭囃し編で言えば、1巻が田無美代子さんで、7巻が鷹野三佐で、8巻の集合を除くと、圭一とレナが表紙を飾ってないというのが特徴的でもありますね!
シリーズ最終章なのに主役とヒロインがあえて外れている!だが、そこがいい!
祭囃し編の最終巻=ひぐらしのなく頃に本編の最終章なので、このエピソードで行われている梨花チームvs.鷹野チームの決着だけではなく、シリーズ全体をまとめるエピソードでもあります。
そこがすごくよかったです。
比較的綺麗にまとめたし、正真正銘の完全コミカライズ版の完結編なのに終わり方がTo be contentiousなのもひぐらしのなく頃にっぽくていいですよね!
気になる人は気になる部分だと思うので、そういう終わり方というのは一応伝えておきます。
まあ、結果として外伝シリーズだったり、原作にはなかったアニメから繋がった正当なる続編の存在とかがあるので、この終わり方は間違ってはなかったと言えますね!
個人的な感想としては、ひぐらしのなく頃に 祭囃し編は完璧で最高のコミカライズでした!
自分が成長したり、環境変わったりすると視点も変わるし、内容は知ってても改めて何度でも楽しめるポテンシャルのある作品なので、買って何度も読むのもおすすめです!
コミック
電子書籍(まとめ買い対応)
関連商品
おまけ
作者の他作品
検索で引っかかったおまけ