神黎の図書館

主観によるグラフ+点数+感想を綴る読書感想文風書評ブログです。月間で読む漫画は150冊~200冊。小説や映像作品についてもちょこちょこと。

バッテリーⅡ

バッテリーII (角川文庫)

・タイトル

バッテリーⅡ

・本の概要

「育ててもらわなくてもいい。誰の力を借りなくても、おれは最高のピッチャーになる。信じているのは自分の力だ――」

中学生になり野球部に入部した巧と豪。
二人を待っているのは監督の徹底管理の下、流れ作業のように部活をこなす先輩部員達だった。
監督に歯向かい絶対の自信を見せる巧に対して、豪はとまどい周囲は不満を募らせていく。
そしてついに、ある事件が起きて……!

各メディアが絶賛!
大人も子どもも夢中になる大人気作品!

・著者情報

あさのあつこ

1954年岡山県生まれ
青山学院大学文学部卒業。
代表作
『バッテリー』、『No.6』

大学在学中から児童文学を書き始める。
『ほたる館物語』で作家デビュー。
『バッテリー』およびその続編で野間児童文芸賞日本児童文学者協会賞小学館児童出版文化賞を受賞。

・点数 68点

表現力☆☆☆☆
深み☆☆☆☆
芸術性☆☆☆
ストーリー性☆☆☆☆
読みやすさ☆☆

・感想
まず初めに、この作品は全6冊ある小説の2冊の感想です。

1冊毎の読み終わりの感想と、全体を読み終わっての感想で異なる部分は正直あるかと思われます。

なので、ここではあくまで、『バッテリーⅡ』に関する読んでる時のリアルタイムでの感想を中心に書いています。
作品全体を通した書評はまた改めて書く予定です。

そして、以下の感想は内容に触れているので、ネタバレが気になる方はご注意下さい。



別の作品のところで、部活は教育的意味もあるから必ずしも無駄ばかりではないと思う。
と書きましたが、中学の時点で生徒全員が強制部活動且つ、一度入ったら最低でも1学期末までは在籍の義務は違う気がしますよね。

義務教育なら部活も義務付けするべき。というのを百歩譲って肯定するにしても、違うと感じたら部活を変える自由は欲しいよね、小学校を卒業したばかりの子供の好奇心とか感性に委ねさせていいのではないか?って思ったりしてます。

まあ、これはバッテリー本編とはあんまり関係ない話ですが。

入学したてですぐ、先輩達の練習風景を見て「ちんたらして動きが鈍い」と一刀両断する巧は流石だなって思います。

巧の不安…というより、危惧ですね、それは当たっている……というのは概要からも分かるので、巧はここから反発と孤立をするのか……と、思いながら読んでます。

Ⅰの時に、真紀子さんのことを嫌いなタイプだと断言しましたが、母親としては間違ってないんだろうな。とも思います。
真紀子さんなりに巧を心配してのことだもんなぁ~

真紀子さんはダントツ不器用な気はするけど、我の強さ、人の心をえぐりかねない鋭利な物言い、正論の3つは父親の洋三さんから真紀子さんへ、そして息子の巧へ…と、脈々と受け継がれていると感じてます。

まあ、頭では分かってても素直になれないこと自体の気持ちは分かりますけどね。

Ⅱではちょくちょくおどけた態度も目立つ巧ですが、中学生男子はそれぐらいのほうが健全な気がしますよね、大人びすぎてると不安になる親心は分かる。

冒頭の回想、一方的な出会いのシーンから巧の発言をきっかけに「野球をやめること」と「巧の女房役で在り続けたい」という対極の悩みを抱く姿など、豪が主人公視点の物語としても展開していきます。

豪によって、才能と対峙して人生が左右される側の気持ちが描かれ、

真紀子によって、どんな才能があろうとも、周りの支えがあってこそ。というのも描かれます。

中学の服装検査ダルかったですよね、一気に思い出しました。
毎週やる意味ある?
って言いながら、大体アウトだったので、僕みたいな奴が蔓延らない為にしつこいぐらいやったんだろうなぁ~
その節は申し訳ありませんでした。

ちなみに髪型と制服のボタンもしくは裏ボタンの紛失によるものでしたね、爪の長さもありました。
まあ、お金かかるし、途中からガン無視ですよね、癖付いて修学旅行も第5ボタンなくて掻い潜るの大変だったので、真似はしないほうがいいですよ!

中学の時はルールは破る為にある。ってちょっと思ってたけど、大人になるとルールは可能な限り守るべきだと気付きますよね、でも校則は役に立つのか、守る義務があるのか謎です。
ルールに反発する癖付くほうがまずくないか?

それとも、ルールの抜け道を見付けて上手いこと立ち回る為の練習なのでしょうか?
あれって教師側も嫌なんじゃないかなぁ~?って思います。

あ、そうなんですよ、理にかなってるなら従いますけど?
これです、巧と同じ…かどうかは分かりませんが、同じ事は思ってました。

まあ、巧のふてぶてしい態度にも問題はあるだろうけど、巧自体は全くブレてないので、ここは豪が違うかな。

いや、豪は豪で深刻な悩みを抱えながら真剣に向き合っているからこその怒りだから責められはしないけど、それでも、それは豪が勝手に、それも豪自身の意思で決めたことであって、巧に同じ覚悟を求めるのはおかしい。
って僕は思います。

そして、豪の事情を考慮して本心と裏腹にルールに従うとかそんなのは原田巧じゃない。
そう思います。

東谷くんも沢口くんもいい子だなぁ~
作品が作品なら、巧の良き理解者・友人として3年間共に野球をするんだろうなって雰囲気あるんですけど、前回の解説からして『バッテリー』はそういう作品ではないんでしょうね。
きっと、一筋縄ではいかない何かが立ち塞がるのだと思います。

そして、自分が悪いのなら、相手が豪なら、謝る。と思いながらも、自分が悪いとも、発言を撤回する気にもなれないから引き下がらないという巧には少し共感するところがあります。
理屈として納得出来なきゃ従いたくはない。

ただし、これに関しては豪の言う「誰だって従いたくはない。お前の思った通りには動かん」というのも一理ある。
自分の理屈がそうなら相手がそれに準ずる行動をしても文句は言えないよね、結局はそういうことだから妥協とか協調性が重んじられるんだと思います。

それはそれとして、野球に関しては揉めてるけど、友人として普通に会話をして喜ぶなんて巧も子供らしい一面あるなぁ~って思います。
祖父の洋三さんと話す時の(原田巧にしては)やや甘えるような態度とは違う意味で、まだまだ子供なんだな。と感じました。

部活において、才能ある子や意識高い子が迫害されたり淘汰される悪しき風潮のせいで将来性のある蕾や芽が摘み取られるのは創作物として見てても凄く嫌なので、なくなってほしいですよね。
思春期だからある程度は仕方ないとしても、そこは顧問がちゃんと管理なりケアしてあげてほしい。
でもそうなると教師の負担増えるからほんとに難しい問題ですよね、一概にどうこう言えない。

巧の青くて豪の正しい。
でも、僕はやっぱり巧側の意見に賛同というか共感します。
従わない奴は無理矢理にでも押さえ付けるというのは間違ってる。

しばらくはスルーしてたけど、クラスメートの杉本と野球部副キャプテンの展西は直感的に嫌いなタイプだと感じました。空気的に。
杉本は作品が作品なら後にグループの盛り上げ役として主力で活躍しそうな扱いではありますが、この作品では果たしてどうかな?

繭ちゃんはわりと好感度高めです。
思いの外出番ある感じですが、巧との対比がいいかもしれません。

戸村先生……いや、戸村真さんの視点・考えと、洋三さんの視点・考えが交差し、わだかまりが解け、且つ、巧の評価の分かれ目が深いなって思いました。

確かに、完成された選手の伸び代って難しいですよね、即戦力に目が眩んで大器晩成型の大物を見逃す可能性は大いに有り得るし、学生野球の監督も難しいですよね、学生野球のほうが難しいか。

入学したて、入部したての一年が顧問の考えで特別扱いって時点で何か起こるな。とは思ったけど、これは笑えないし、看過出来ないよね。
どう考えてもやり過ぎだろ、しかも3人がかりで自分は正体隠すとか卑怯だし。
まあ、大体の想像は付くけど。

あえて口汚く言うけど、こんなバカなガキの蛮行で取り返しのつかないことになった場合、親ごと一生取り返しのつかない重荷を背負うことになる訳じゃないですか?
理解に苦しみますね。

悪いことは出来ないな、ほんと。
例の奴等はそういう結末を迎えます。
巧のせいにされるのは納得いかんけど、発端が巧なのは事実か。
でもそれも結局は自分の弱さだけどね。

それでも押し寄せる困難、納得し難い展開。
さすが、それでこそ『バッテリー』だ。

大人は、学校は、校長は、体裁を気にする。
表沙汰にはしたくない。だから罰は極力与えない。
問題は野球部であって、学校ではない。という責任転嫁。
ほんと、学校教育って何だろうね?虫酸が走るぜ。

あとがきは作風同様、一筋縄ではいかない性質の作者さんの言葉が綴られていて、「いいぜ、かかってこい!」って気持ちと「正面から立ち向かってやる!」って気持ちが同時に浮かび上がりました。

個人的には巧に対して、「最低」だとは思ったことがないので、部分的には分からないな。とは思いましたが。
そりゃあ、間違ってると思う瞬間もあるけど、どちらかと言えば共感タイプなので。
我の強い10代生活を送ってた側なので。

作中の数少ない癒し担当だと思っている青波とサワ(沢口)の泣き虫コンビが意外と巧の弱点ってのもちょっと分かる(笑)


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