神黎の図書館

主観によるグラフ+点数+感想を綴る読書感想文風書評ブログです。月間で読む漫画は150冊~200冊。小説や映像作品についてもちょこちょこと。

自殺島

[まとめ買い] 自殺島

・タイトル

自殺島

・本の概要
自殺島」――それは、自殺を繰り返す"自殺常習指定者"達が送られる島。
主人公・セイも自殺未遂者の末、その島へと辿り着いた。
果たして、セイ達の運命は!?
極限サバイバルドラマ!!

・著者情報

森恒二(もり こうじ)

生年月日 1966年11月28日
出身地 東京都

さいころから体格に恵まれ、親の勧めで入ったリトルリーグで野球に打ち込む。
ちなみに所属していたチームは全国大会で優勝を経験している。

本人は野球にあまり乗り気ではなく、家でのお絵描きのほうが楽しかったと語っている。
中学1年生の時に『がんばれ元気』を読んで漫画家を志す。

入学した高校で三浦建太郎と友人となり、両親がデザイナーであった三浦の家で共に漫画を描くようになった。
技来静也も同級生だったが、当時は漫画を描いておらず、交流は無かった。

森は両親との仲がうまくいかず、このころから下北沢などを遊び歩き、喧嘩に明け暮れるようになる。

大学は三浦と共に日本大学藝術学部美術学科に入学。

大学時代はグローブ空手の同好会に所属。
漫画の投稿も続けており、賞も獲得していたが掲載には至らず、ある編集者からストーリーは編集に任せて作画だけで良いと言われたことがきっかけとなり、スランプに陥ってしまい、六本木などで荒れた生活を送っていた。

大学4年のときに三浦が武論尊の原作で漫画家デビューが決まったのは森の助言がきっかけだったが、自身は荒んだ生活の中で複雑な気持ちだったと語っている。

大学卒業後はデザイナーとして広告イラストやCMの絵コンテ製作などに携わっていた。
25歳のときに鈴鹿サーキットで行なわれたF1の取材の帰りにバイクで大事故に遭ったのがきっかけとなって、再び漫画の道を志すようになった。

自身の経験を元に、2000年から『ヤングアニマル』で『ホーリーランド』の連載を開始し、人気作となった。

格闘技の愛好家で、今でもプロの格闘家とともにトレーニングを行っている。

ホーリーランド』の格闘技描写について、喧嘩をしていたころによく利用して登場人物に多用させていた技が、格闘技経験者であるという読者から「現実では使えない」「事実と違う」という指摘をされたことがあり、更にドラマ版の出演者たちに森がアクション指導をしていくうえで、体格などが自分と異なる俳優たちが再現することに苦心する技(引っ張りパンチ、タックルへの手刀など)がいくつかあったことから、「(格闘技は)体格や習った格闘技の種類の違いで、実践する人にとって違う『事実』があるのでは?」というコメントを残していた。

・点数 100点++

ストーリー☆☆☆☆
画力☆☆☆☆
オリジナリティ⭐⭐⭐☆☆
テンポ☆☆☆☆
熱中度⭐⭐☆☆☆


・感想
読んだ率直な感想としては、タイトル詐欺作品。

その衝撃的なタイトルとは裏腹に、生きることをテーマに描いた作品です。

かつては「無法島」と呼ばれたその島は、国から「自殺未遂の常習者」と認められた人達を一纏めにする場所へと変貌していた。

元の社会とは違い、その島にはルールはなく、自殺をしても誰の迷惑にもならない。
「どうぞ好きに自殺して下さい」
と言われた未遂常習者達の反応はそれぞれですが、大体は初日に死を選ぼうとします。

そこで死ねなかった場合、「人間の死」を目の当たりにすることになります。

悪い言い方をすると、死ねなかった未遂者達で群れを成し、傷を舐め合う。

いい言い方をすると、こんな島の中でも生きていく為に全員で協力しようと奮起する。

前半の内容はこんな感じです。
何故2つの言い方をしたかについては、僕の中で、読み始め・物語前半と、物語後半・読み終わりでキャラクターに対する感情が全く異なるからです。

何もない島で生き残る為にはサバイバル能力が必要ですが、漁・狩り・農業etc.のサバイバルに必要な技術を丁寧に学べる作品でもあります。
その全てが作者さんによる徹底的な取材、実体験に基づいて描かれていて、その旨の解説がえるので、分かりやすくて信憑性があります。
これもこの作品の大きな魅力だと思います。

生活が安定すると、同時期にこの島にやって来ながらも、反対の方向に進み、陣地を築いた者達との避けられない戦が始まります。
これが中盤から後半にかけて長きに渡ります。

戦争にどちらが悪いとかはなく、この島で言えば、結局は最初にどっちに着いたかで運命が分かれると思います。

登場人物達が紆余曲折を経て、仲間や友達を失いながらも強く成長し、変わっていき、生きる希望を取り戻そうとする姿は、人間本来の「生への執着」に回帰してると思うので、このご時世だからこそ読むべき作品だったかもしれませんね、去年読めばよかったって思ってます。

今読んでも十分いい作品なんですけど、テーマ的に去年の内に読んで去年に作品紹介の記事を書くべきだったと思っています。
ちょっと後悔。
いや、タイトルでちょっと警戒してたんっすよ、申し訳ないですが。

でも、やっぱりいい作品です。
いつの時代になっても共通認識として伝えていくべき、母への感謝と命のバトンが読めば分かる。
そこを重々承知している上で読んでも、有り難みを感じます。
これは伝え方と描写の巧さだと思います。

とはいえ、読みながら気に入らない点や気に食わないキャラクターはいます。
あと、中弛みではないけど、展開として納得し難い部分も後半にありました。

ところどころ気に食わない、疑問が残る描写・演出をあえてしているところが逆にリアルだったので、僕の感情は置いといて、作品としては◎だと思います。

これも人によるとは思いますが、読むとこれまでと見える世界観が変わるかもしれません。
命と向き合う意味でも読んで損はない作品だと思います。
少なくとも、僕にとってはそうでした。