神黎の図書館

主観によるグラフ+点数+感想を綴る読書感想文風書評ブログです。月間で読む漫画は150冊~200冊。小説や映像作品についてもちょこちょこと。

ANGEL VOICE

ANGEL VOICE コミック 全40巻完結セット (少年チャンピオン・コミックス)

・タイトル

ANGEL VOICE

・本の概要

ケンカだったらレアル相手でも楽勝!!
腕に覚えのある"ワル"が集まり、"県内最強軍団"と皮肉られる私立蘭山高校サッカー部。
その奇跡の物語が始まる……熱き心を取り戻せ!!
本格高校サッカー巨編!!

・著者情報

古谷野孝雄(こやの たかお)

日本の漫画家。写実的な作風が特徴。石山東吉の元アシスタント。

『GO ANd GO』連載当初、野球の知識はほとんどなかったものの、本人の熱心な取材と野球に対する熱意によって11年間連載する野球漫画家へと成長していった。
また、同書の帯でのコメントではプロ野球はロッテファン兼巨人ファンであるものの、毎年巨人が補強をする方針には懐疑の念を抱いており、弱小と呼ばれ低迷し続けていたロッテが2005年に優勝した際には喜びをあらわにした。

・点数 96点

ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆☆

・感想
不良は運動神経がいい、そこから生徒としても部としても立て直す姿に一種の感動を覚えました。
分かりやすくてテーマも一切ブレずに貫いています。
読者としては彼等の良いところも悪いところも見せられながら巻数を追うので、努力も衝突も悩みも分かってますが、学校側や同じ学校の生徒達からしたら不良の集まりと化したサッカー部は劣等生であり、忌み嫌われているのがリアルで、そこにもその先にもメッセージ性がありました。
そして、彼等の成長は勿論、彼等のサッカーを観るのは楽しい、彼等のサッカーは「希望」であるという演出はよく出来ていました。
巻数の多さを感じさせないテンポの良さとストーリー構成は作品の魅力です。

スポーツ漫画においての画力の良し悪しは試合の躍動感がどうなのかで判断するのですが、この作品は優れていると言えます。
露骨な嫌な顔をしたり、この人は理解してくれるのかな?というキャラクターの感情が読者に分かりやすい演出でした。

元々が全国レベルに通用する素質があり、訳あってサッカーをやめていた天才と、完全に素人ながら身体能力だけで対応したり出来なかったりな愉快なお調子者のそれぞれが生徒側の主役格です。
そして、勝つことよりも楽しむこと、技術的な練習よりも反復基礎練習(走り込み)を重視した監督(顧問)がメインの主人公です。
類似の作品と比べて飛び抜けている程ではないものの、全体の組み合わせとしてとても魅力的に感じました。

ここまで書いた通り、設定は結構こだわりを持って書かれてると思います。
巻数を重ねれば重ねるほど深みを増し、クライマックスにかけての泣ける演出は素晴らしかったですし、キャラクターが生きていることを強く感じる作品でした。

旧採点方式だと熱中度として超加点してました。
新採点方式に加点はないですが、没入感としても満点は満点です。
読んでて熱中するし、感情移入しまくるし、続き気になるし、感動したし、この項目はほんと文句無しの結果でした。
いろんな感情を刺激してくれるので、読み終わりの多幸感がありました。


以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。



類似の有名作品と言えばルーキーズになりますね、何ならライバルと言っても過言ではないかもしれません。

※ただし、連載は2007年からなので作品としては後輩にあたります。

この作品の主題は学校側が手に負えない不良の巣窟と化したサッカー部の更正と再建、そして学校側の変化と成長にあります。

生徒からも教師からも疎まれた校内一の嫌われ者集団のサッカー部にその再建を一任された特別顧問(監督)として黒木が市蘭にやって来るところからスタートします。

そして、突き付けられたのは全国屈指の激戦区である千葉県でベスト4に入らなければ即廃部という厳しい条件……。

そんな中、黒木が目を付けたのは中学時代に(喧嘩)最強4人組と言われた新一年生達でした。

喧嘩の強さ=腕っぷしの強さ≒持ち前の運動神経の良さっていうのはなかなかいい目の付け所だったのではないでしょうか。

一触即発、波乱万丈の末に問題児やワケありを含めた1年生、先輩にあたる2、3年生を説得ならぬ誘導をし、何とかチームとしてまとめあげます。

相当量のハードな練習の末に身に付けた「最後まで走る」力はいろいろな場面で活かせる教訓になると思います。

そう言えば、体育会系の絶対的上下関係の弊害として、後輩が先輩にさん付け敬語であることを廃止したのは興味深かったです。

丁寧過ぎる物言いは、咄嗟の事態に対応が遅れる……か、なるほど。

サッカー部は変わりつつあるものの、学校内の評価は冷ややかであり、不良根性が染み付いたサッカー部にとっては悪循環……

そんな中、救ってくれるのは実際に試合をした強豪チームというのも熱いものがありました。

イメージよりも試合した連中が一番分かっている。

昨日の敵は今日の友を実践出来るのって素敵でした。

そして、嫌われながらもひたむきに走り続けるサッカー部の姿はほんの少しだけ学校内にも浸透し、小さな芽となります。

踏まれても辛抱強く咲き誇るか、摘み取られるかはサッカー部次第……とだけ記しておきましょう。

気になる方はご自身の目で是非。

校内で最もサッカー部を嫌っていた人物は何故、無理難題を押し付けた上でサッカー部を排除しようとしたのか……そこにもドラマがありました。

そして、前述した市蘭サッカー部の救いになる強豪サッカー部を含めて、市蘭が戦うほぼ全てのチームがスポットライトを浴びてチーム内ドラマが描かれているところはすごく好きでした。

不良サッカー部の再建と同じぐらい作品の主題となっているのが命の尊さ、儚さ、重さだと思います。

運動部に付き物のマネージャー。

部員の心のオアシスとも言える女子マネージャー……この作品にもいます。

彼女は不器用ながら悪名轟く頃から必死にサッカー部を支え、タイトルの由来でもある天使の歌声でチームの精神的主柱とも言える存在でした。

そんな彼女が突然の病魔に侵され……症状の兆しはあった。にも限らず、ある部員は「それ」を笑った。

決して悪気はなく、他愛ない日常の一コマに過ぎない……はずだった。

しかし、その後悔が彼を強くする。

チームが戸惑い、崩れ行く中、彼だけは事前の後悔と覚悟から冷静でいられた。

彼女の存在はサッカー部にとって絶対であり、同時に、目的もなく生きていたことに後ろめたさを感じていた千葉の不良達にとってのゴッドマザー的存在になっていました。

本人の意思に反してカリスマに仕立てるのがいいか悪いかはこの作品に関しては置いておきます。

この作品の軸は大きく分けてこの2つ。

(この作品のこの世代では、)千葉大会を制したチームが全国優勝に最も近いという千葉県の大会でまともなサッカー経験者はたった2人(片方は大幅なブランク有り)の持ち前の運動神経と体力だけを武器に大会ベスト4を成し遂げるという無理難題、

自身のやっていたバスケをアキレス腱の断裂により泣く泣く諦め、サッカー部のマネージャーに転向、しかし、病魔は容赦なく進行し、生存確率はかなり低めの危機的状況、

登場人物達はこの2つの難題を克服し、見事に勝利と笑顔を勝ち取ることは出来るのでしょうか?

ただのスポーツ漫画・サッカー漫画ではない、人間同士の縁や絆も同時に描いた名作です。

個人的にめちゃくちゃドラマ化してほしい作品です。


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