神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

孤独な青年の挑戦!クライミングの充実感『孤高の人』

孤高の人 コミック 1-17巻セット (ヤングジャンプコミックス)

・タイトル

孤高の人

・本の概要

孤独な青年・森文太郎は転校初日、同じクラスの宮本にけしかけられ校舎をよじ登ることに。
一歩間違えば死んだかもしれない、だが成し遂げた瞬間の充実感は、今までになかった「生きている」ことを確かに実感するもの…。
文太郎は、クライミングへの気持ちを加速し始めた――!!

・著者情報

坂本眞一(さかもと しんいち)

生年月日 1972年7月19日
出身地 大阪府

1990年、「キース!! 」で『週刊少年ジャンプ』第70回H☆S賞入選。同作でデビュー。
写実的で筋骨隆々な男性描写が得意。
同期漫画家の野口賢山根和俊と親交が深い。

代表作に『モートゥルコマンドーGUY』、『益荒王』など。
2010年、『孤高の人』で第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。

・点数 92点

ストーリー☆☆☆☆
画力☆☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆☆

・評価
決して分かりやすいとは言えないので、本当は項目別の採点基準にはストーリーに高評価を付けるわけにはいかないんですけど、それ以上に奥深いテーマと尻上がりに上がるストーリー構成なので、作品全体を総合的に判断した結果、満点ではないけど高評価である。と結論付けました。

線から伝わる画の力が凄まじく、セリフがなかろうが、読解不能になろうが、関係なく伝えてくる力が備わっていました。
そういう力は漫画家としての最高峰の力の1つだと思っていますので、文句無しの最高評価です。

全員が全員という訳ではないですが、初期の登場人物が中盤または後半で重要な役割を果たしたり、新規キャラも負けずに個性を出してきたり、キャラクター面も面白い作品でした。キャラクター同士の関係性も含めて。

それが面白いかどうかは人それぞれなので不問とすれば、細部までこだわった世界観を貫き通して伏線も回収しつつ、しっかりと描ききった印象が強いです。
何より、個人的に衝撃を受けた場面が多く、斬新でした。

不満点がない訳ではないので、終始物語に集中出来たか?と問われれば、答えはNOであり、残念ながらこの項目の満点は付けられませんが、読み終わりの感情は独特のものがあり、悪くない気分であり、自分の感性がワンランク上がった気さえもしました。


以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。


孤高の人 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
孤高の人 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
孤高の人 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
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・感想
この作品は非常に評価が難しい作品でした。
中弛みする作品や、終わり方がイマイチな作品はちらほらありますが、この作品に関しましては、取っ掛かりが難しく、且つ、じわじわ火が着くタイプの作品なので、最後まで読めて初めて一定の評価が出来る作品だと感じました。

ライミングというテーマや命懸けの登山、ザイルとの関係性はすぐに受け入れるのは難しいというかすんなりと理解するのは一般的には難しいと思うんですよね、その上、最初っから重っ苦しいんですよね……そこが癖になればこの作品の虜なんですけどね?

作風というかテーマ柄、「生と死」に重きを置いていたり、その中で起こり得るいじめと差別、軋轢等、終始重いです。
重いことそのものは嫌いではないですが、如何せん文太郎に関わってくる人物達の人間性が読む気を削いでくるという……

孤独な登山者の森文太郎は必然的に生まれるというか、人と関わろうとすれば邪魔が入る…まさに「どんより」と呼ぶに相応しい作品だと思います。

序盤から終盤にかけて続く伏線として、森文太郎と山の間で交わされる「孤独の契約」があるんですけど、この契約の活かし方は秀逸です。

この作品の魅力はストーリーそのものというよりは、森文太郎の歩む人生と心情なので、そこは読んで確認してもらいですね。

変な話、この作品の中で女を知らない森文太郎を襲う女の怖さの描写が凄すぎて圧倒されました。圧巻でした。
リアルさと獰猛さや危機を感じるような動物に例えたイメージの描き方には脱帽しました。
性描写の芸術性とかちょっと見てほしい気がします。

ネガティブなイメージとか、変なイメージを植え付けた可能性大だとは思うのですが、自ら孤独を選び、孤独を愛した男の人生の選択を見届けるハラハラ感とドキドキ感はそうそう味わえるものではないと思うので、そういう意味ではとても貴重な作品だと思います。

肝心な登山の部分についてですが、前人未踏のK2東壁に森文太郎がチームで挑むという長めのエピソードがオススメですね!
孤独を望む森文太郎がチームだと⁉️ってなること間違いなし、チームなのに人間関係最悪⁉️などなど、見所満載のエピソードなんですよ。
あえてこのエピソードを選んだのは、この登山そのものチームが文太郎と作品に大きな影響を与えるからです。

最後に重ねていいますが、別にオススメ作品というわけでも、面白い作品でもないです。
ただ、深くて芸術的な作品です。


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