神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

闇の日常『焔の眼』

焔の眼 コミック 全6巻完結セット (アクションコミックス)

・タイトル

焔の眼

・本の概要

1945年、敗戦国、日本。
異国の植民地となったこの国において、日本人は奴隷のような生活を強いられていた。
死と隣り合わせの日常の中、売春宿の下女として働く少女は出会う、神をも恐れぬ戦慄の拳に……‼
暗黒の日本を生き抜く屍山血河のバイオレスファンタジー、ここに開幕‼

・著者情報

押切蓮介(おしきりれんすけ)

生年月日 1979年9月19日
出身地 東京都目黒区
職業 漫画家、同人作家、ミュージシャン

活動期間 1998年~
ジャンル ギャグ漫画(不条理漫画)、ホラー漫画、ファンタジー漫画、青年漫画
ゲーム漫画、バトル漫画、エッセイ漫画、風刺漫画、4コマ漫画

代表作
『でろでろ』
『ゆうやみ特攻隊』
『ピコピコ少年』シリーズ
ミスミソウ
『プピポー!』
ハイスコアガール
『焔の眼』

受賞歴
ヤングマガジン月間新人漫画賞佳作
ブロスコミックアワード大賞(2012年)

祖父は直木賞作家の神崎武雄

1998年に『週刊ヤングマガジン』に掲載された『マサシ!!うしろだ!!』でデビュー。
独特の絵柄と多彩な作風を持っており、ホラーギャグなる特異なジャンルを開拓したことでも知られるがジャンルに縛られない多作な作家。

バンド『怪奇ドロップ』のメンバーであり、音楽活動や同人活動も行っていた。

・点数 84点

ストーリー☆☆☆☆
画力☆☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆
設定☆☆☆☆☆
没入感☆☆☆

・評価
実在する多数の国を支配下に置いた架空の国の話なので、史実には基づかない戦争を作中では描いています。
その為、一見すると分かりにくいかもしれませんが、ちゃんと読むと分かります。
そして、テーマが重くて深いです。
架空の国としつつも、実際に受けたであろう仕打ちや、してたであろう胸糞悪い仕打ちが作中では多く描かれています。
所謂挑戦作ってやつですかね、訴えたいのか伝えたいのかは分からないですが、悲惨さや悲痛さ等、戦争の闇の部分が溢れ返っているので、面白くはないですが、テーマの一貫性と奥深さは十分に感じました。

「ソイツ」が来るだけで空気感が変わる圧倒的な武力を表す言葉要らずの表現力、反対に言葉で伝える善悪の感情の双方で優れていると感じました。

カリスマ性のあるキャラクターはいますが、少しそこに頼りすぎ感は否めないです。
メインキャラクターのバックボーンをきちんと描いているのに力で押し切るのは少し勿体無い気がしました。

力で押し切る癖があると書きましたが、それはあくまでも最終手段であり、結構ちゃんと練られた設定はあります。
主にマイナス方向に舵を振り切ってますが……。
何故、そこまで追い詰められねばならないのか?それは敗戦国だからってことですよね、平和ボケして忘れるなよ?って何度も言われてる気がします。

楽しくはない。嫌な気持ちになる。それでも、最後まで見届けなければいけない気がする……そう思わされる力があり、そう思わされました。
前段では勧めません。ですが、後段では勧めています。
そこの説明はどうしても、一部内容に触れるので、こういう形になりました。


以下、商品リンクを挟んで、内容に触れつつ、個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。


焔の眼 : 1 (アクションコミックス)
焔の眼 : 2 (アクションコミックス)
焔の眼 : 3 (アクションコミックス)
焔の眼 : 4 (アクションコミックス)
焔の眼 : 5 (アクションコミックス)
焔の眼 : 6 (アクションコミックス)


・感想
1929年10月25日に世界50カ国に宣戦布告した中央アジアの小国『ショルゴール』。
密かに蓄えていた武力は圧倒的で、ソ連、ドイツ、アメリカさえも支配下に置く……という内容通り、史実には基づいてないストーリーです。

何れの国もショルゴールに服従していく中、敗戦しながらも己の腹を切り、自決を選ぶ日本人の誇りの山にかの国のプライドはいたく傷つけられる……

誇りと引き換えに滅びの一途を辿った日本のとある場所で娼館で雑用をする少女沙羅は圧倒的強さを持つクロとの出会いで人生が一変する。

多勢だろううが相手が武器を持っていようが拳1つで蹴散らすクロの姿は圧巻です。

クロの怪物性ですが、日本には台湾から泳いできたことや、戦車と戦闘機を一刀両断出来る力、銃弾をかわす俊敏性、戦車砲を捌く技術から窺えます。

メインの部分であるパートが凄惨すぎる……日本人の扱いが酷すぎる上に沙羅の扱いがなお酷い。

正直胸糞悪い部分も多いですが、戦後の闇というか過去の日本も含めて実際に敗戦国が受けていたであろう戦争・争い事の醜さが詰まっている作品でもあると思いました。
歪んだ人間の感情の描き方巧かったです。

沙羅が身を守る為の術としてクロの一撃必殺の型を継承していたり、生きる為にもがき苦しみながらも成長していく姿も見所だと思います。

個人的に思った欠点はキャラクターの描き分けが微妙に感じたところでした。
まあ、この作品というか作者さんの作風なのかな?メインキャラクター以外は若干乱雑というかお粗末な部分がある気がします。
とはいえ、それが逆にメインキャラクターを引き立ててるのでそういう技法なんだと思いますので、厳密には欠点ではないのだと思います。

単純に面白い作品という訳ではないですが、学校では教えてくれないことを学ぶ機会でもありますし、日本人は読んでおくべき作品だと思いました。
あえて烏滸がましくも強めに勧めてみました。
重ねて言いますが、凄惨な扱いや教育上よろしくない表現も多く含まれています。読むときは自己責任で。


コミック

電子書籍(まとめ買い対)

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