・タイトル
野ブタ。をプロデュース
・作品の概要
ベストセラー小説をドラマ化した捻りの利いた異色の群像劇。
高等学校を舞台に、これまで「人生はつまらない。 この世の全てはゲームだ」と考えていたクラスの人気者・桐谷修二が、突如自分の高校に転校して来た典型的ないじめられっ子・通称「野ブタ」こと小谷信子を人気者にプロデュースしていく。
物語は終始修二の語りで進行し、男子高校生の殺伐とした人間関係をコミカルに、そして生々しく描く。
点数96点
ストーリー☆☆☆☆☆
演出☆☆☆☆☆
視覚的面白さ☆☆☆☆
聴覚的面白さ☆☆☆☆☆
熱中度☆☆☆☆☆
・あらすじ
私立隅田川高校2年B組の桐谷修二はノリのいい自らを演じることによって、クラスでの人気者を演じることによって、クラスでの人気者のポジションを確立している。
そんな修二にとって、とことんウザい存在としてクラスでも浮きまくっている草野彰には調子を狂わされっぱなしだが、彰は修二のことを親友と思い込んでいる。
そんなある日、小谷信子という転校生がやって来て……
・感想
平成初期生まれにとっての青春そのものとも言える作品の1つ。
伝説のドラマ『野ブタ。をプロデュース』。
ほとんどの学生が見ていて、「修二派?彰派?」や、みんな歌って踊る「青春アミーゴ」(サラリーマンの忘年会も含む)等、まさに社会現象を引き起こした作品。
2020年にはコロナ渦ということもありながらもドラマの全話リマスター再放送、Blu-ray BOXの発売(書き下ろしの続編プチ小説付き)など、20周年を彩る数々な企画も行われ、その反響も大きく、今尚続く影響力の大きさを示しました。
同時に、原作とは大きく異なる展開と演出なので、原案の小説や漫画から大きく逸脱しても骨組みがしっかりしていれば成立し、社会現象レベルのヒットもあり得るという1つの例として、演劇業界にとっての希望とも言える作品と言えると思います。
ドラマ版の試み、全体のテーマとして意識されていたのが、「希望の持てるラスト」と「1話1話が持つメッセージ」の2つがあります。
前者の拘りが原作と異なる理由であり、大胆過ぎる設定の変更と普遍的な教訓を交えた展開、学校の「教室」という独特で、それでいて移ろいやすい流動的な価値観、協和性がいじめに繋がるという現実。
その中で如何にして自分の魅力を出していくか、に着目した演出が大ヒットを越えたメガヒットに繋がったのだと推測します。
そして、この年代だからこそのカリスマという立ち位置への憧れや妬み、各々が持つ悩み、友情と恋愛の狭間で揺れ動く葛藤、その全てが貴重な青春の1ページとして刻み込まれているからこそ時代を越えても心に響く青春群像劇に仕上がっているのだと思います。
キャスト陣の年齢に関しても、山下さんは20歳だったと思いますが、撮影当時の亀梨さんは19歳。
堀北真希さんや戸田恵梨香さんは10代。と、等身大の青春を描いているのも作品にとってプラスに働いていたと思います。
クラスメート枠+部分的に目立つ役どころを演じた若かりし頃の若葉竜也さんと大東駿介さん、柊瑠美さんにも注目ですね!
後述部分にも書きますが、大人になってから見ると、学生時代とは異なる視点で見ることが出来るので、二度三度味の変わる作品とも言えると思います。
かといって、一度目の火力も相当強いので、スルメ作品ではない。というのがこの作品の強みです。
意外と深いというか、メッセージ性の強いドラマ版野ブタ。ワールド、気になる方は是非お手に取ってみて下さい!
以下、商品リンクを挟んで、内容に触れながら個人的に感じた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。
修二と彰から15周年……あの最強ユニットがついに初のドームツアー決定!!
そんな節目の年でもありますし、先週の菅田くんのオールナイトニッポンで原作には彰が出ない、野ブタは男等の相違点を聞き、大胆アレンジをした上で逆転満塁ホームランを放ったこの作品がまた見たいと思い、眠っていたDVD-BOXを引っ張り出し、見ました。
これはね……大人になってからのほうが響くものありますね、はい。
当時は中学生で、分からなかった部分も今なら分かる……みたいなことも多々ありました。
グサッって刺さりまくりましたよ。
でも最大のポイントは菅田くんも言ってましたが、「あれをアドリブで作ったP凄ない⁉」ですよ、動きとかヤバイですよ、ほんと(笑)
序盤は控えめに言って結構クズ寄りな性格の修二がなんやかんやと成長していくのいいですよね!
彰と真の意味で友情を深めていくストーリー展開と実際の亀と山Pさんの関係性めちゃくちゃリンクしてない?って思うとなんかにやにや止まらなかったりしません?っていう余談。
余談ついでに言いますと、今や朝ドラ主演女優として評価されまくってる戸田恵梨香さんも初々くて見てて微笑ましく感じますね、中学生の時めちゃくちゃ好きでした、まりこちゃん。今見ても健気で可愛いのよ、ほんとに。
内容について触れておきますと、114の日の告白イベントの件めっちゃ好きなんですよね、ここネタバレになるので詳しくは書けないのが残念なほどに。
そして、このドラマ版、野ブタ。をプロデュースはややミステリーホラーな要素も含んでますよね、そこも結構面白かったりします。
何でも願いが叶うという謎のアイテムに1度は憎き相手を消してもらって、それを取り消す……結果的には変わらない日常が続く訳ですが、一瞬は無自覚にこの世から消えた存在になっていたのか?
この世から消える……つまり、その人が存在した事実を消していたのだとしたら、本人も親も友人も気付いてない事態だと思うので、謎のままですよね……
後は写真に写らない幽霊トリオや屋上から飛び降りたはずが夢オチ(4人が同時に同じ夢)……なのに飛び降りた跡みたいなものは残ってるetc.
動機も含めて人間が起こす学校の怪談みたいなミステリーホラーって感じしますよね、面白かった。
個人的には作中最大の謎はキャサリンこと教頭先生ですけどねw
本当にからす天狗なのではなかろうか(笑)
そんな感じで改めて見ても見所満載でした!
さすがにちょっと画質は気になりますが、BGMも良く、チャレンジ精神も含めて最高級の評価を付けたい気持ちになりました。
ドラマには関係ない余談ではありますが、ミリオンヒットの主題歌、青春アミーゴのカップリングは山下智久さん作詞のカラフル(ドラゴン桜挿入歌)、亀梨和也さん作詞の絆(ごくせん挿入歌)と、名曲揃いになってます。
PS
Blu-ray BOX発売に伴い、追記です。
野ブタは義理の父親やいじめっ子に対して向き合おうとしたり、許せなくても生きてほしいと伝える場面があります。
今だからこそ見てほしい作品の1つかもしれません。
おまけ
脚本家の主な作品
演出家の主な作品
主要キャストの主な出演作(抜粋)
亀梨和也さん
山下智久さん
堀北真希さん
おまけ2