・タイトル
おはようとかおやすみとか 第4巻
・点数
総合得点100点+++
ストーリー☆☆☆☆☆
画力☆☆☆☆☆
オリジナリティ☆☆☆☆☆
テンポ☆☆☆☆☆
熱中度⭐⭐⭐☆☆
・本の概要
・理想の家
・子供な大人
・目安箱
・魔女おばさん
・三姉妹の母親
・アドバイス
・感想
先日、書店員の片山さんからもらった肉じゃがのタッパを返さなくてはいけないと思いつつ、お礼をどうしようかと悩む和平です。
が、同僚に捕まり飲みにいくことに……
ストーカー女性についていろいろ聞かれます。
相変わらずこの同僚は苦手です……
結局、タッパーは返しにいけず……
酔っ払って家に帰ると、穂高がお返しにお菓子を持っていって欲しいと言います。
悩んだ末、穂高の焼いたお菓子をお礼代わりにすることになりました。
やっとタッパを返すことができ、同じ電車で片山さんといろいろな話をしながら帰りました。
この前、片山さんの家に行った時にとても居心地の良い家だなぁと感じたことを思いだして、片山さんにそう言いながら、ふと思います。
『もしかした自分の理想の家だったのかもしれない』と。
和平の家は少し複雑で、家族の団らんとかに縁の薄い家庭だったのでなおさらそう感じたのかもしれません。
話しの流れで片山さんの好きな絵本作家の話題になり、彼女が好きな作家は『日向翔平』だと聞いて思わず、「それ父です」と言ってしまいました。
和平の家庭の話しを聞いた片山さんは、
「日向さんも、妹さんたちもお互いに大事なひとに会えたんですね。……すごいですね」と。
彼女は、
「日向さんたち兄妹が欲しかったものを今、一緒につくっているんですね」とそっと教えてくれました。
さて、突然ですが、ここで同僚の差別化の為に女の子のほうはちゃんと名前で呼びます!加東さんです!
加東さんは嫌いじゃないよ!!
和平の同僚は、書店員の片山さんが和平をストーカーしていた経緯から、彼女のことを『ストーカーちゃん』と呼びます。
和平にとって片山さんはもうストーカーでも何でもなく、むしろ好ましい部類の人なのであまりにストーカーストーカーと言われると腹が立ちます。
なので、はっきり「やめてほしい、あの人ストーカーじゃないから」
そう言います。
和平の言葉にショックを受けた同僚は、そこへやって来たもう1人の同僚、加東にタッパーの件をことさら面白おかしく話してきかせます。
その場の雰囲気を素早くキャッチした加東さんは、「良かったですねぇ、ちゃんと返しに行けて」と和平に味方するのでした。
こうなると面白くないのは人の常なのか……性なのか……
社員食堂で1人でランチをしている同僚を見つけた加東さんは「日向さんは一緒じゃないんだ?」と聞きます。
「外出中で会社に日向はいないんだ」と言う同僚に加東さんは「拗ねて一人で食べてるのかと思った」
そう言って軽くからかいながら、同僚の和平にした悪ふざけをやんわりとたしなめるのでした。
それからも何となくわだかまりが残る同僚は、和平を誘いたいのに誘わずにずっと1人飲みをしていました。
そんな同僚に加東さんは「子供と同じだ、焼きもちだ!」と笑い、新しく開拓した店で2人で飲み明かすのでした。
「良い家」の定義について和平は考えていました。
そこで思いついたのが『目安箱』です。
妹たち3人にそれぞれの要望や希望を書いて箱に入れてもらうことにしました。
結果は、ほぼすべてがちいちなの要望だけでした。
穂高は何もないのかと聞かれて「特に何もありません」と答えます。
その答えに和平はがっかりしました。
夜、布団の中で穂高はちいちなに叱られてしまいました。
『なんでもいいから考えて、何か言ってあげるのが大事な気がする。ほたちゃんはてきとーに甘えればいいのにさ。考えたことを伝えてあげたらうれしい顔すると思うよ』
翌朝、穂高は一晩かかって考えた要望を和平に伝えました。
「次のお休みに、スーパーへみんなで買い物に行きたいんです」
スーパーで楽しそうに買い物をする穂高やちいちなを見て和平はなんだかとても嬉しい気持ちでした。
途中で妙な女の人に声をかけられて戸惑いますが、すぐにいなくなったので「What」でした。
帰りに穂高がアイスを食べたいと言い、月一でいいからこうして4人で買い物をしたいと言ったのがすごくうれしっかたのでした。
アイスをおねだりする?穂高めちゃくちゃ可愛かった……
世間の学生はもうすぐ夏休み。
夏休みといえば、子供にとって『魔窟』だと加東さんは言います。
犯罪や非行、事故などが多発する季節なのです。
いたずらに不安をあおられた和平は帰宅後すぐに妹たちに「夏休みの心得」的な説教をします。
双子は夏休み1ヶ月前からめちゃくちゃ受かれてます。これは危険です……
和平の話しを聞いていて、穂高はふと近所のおばさんから聞いた話を思いだしました。
近ごろ通学路で子供たちに声を掛ける魔女おばさんがいるというのです。
「最近、通学路で怖い人に声を掛けられたりしていない?」
と聞いてみました。
「マジョさんはこわい人じゃないよ!」
双子は即答しました。
双子の答えに穂高は顔面蒼白に……
最初の出会いはちいが転んでケガをした時に助けてもらったことのようですが、どうやら家にまで上がりこんでお菓子をごちそうになっているようです。
「いつもいってるよね?知らない人にものをもらわない!絶対についていかない!」
穂高は双子を叱りつけます。
穂高の心配がわかった双子は、穂高がマジョさんの家にお礼に伺ってくるからそれまではもうマジョさんの所には行かないと約束しました。
その際、和平も同行することにしました。
ちいちなは、魔女おばさんのところに、これからしばらく来れないと挨拶に行きます。
ちいちゃん、ちなちゃん、そういうことじゃないんだよ?w
行ったらダメだよ!
素直で純粋でしっかりしてるから本質の理解より律儀さが上回ってしまったのかな?
事情を知ったマジョさんから穂高のケータイに連絡が入り(双子から聞いた)、和平の所にも穂高から、マジョ宅にいるとメールが入りました。
急いでマジョの家に行くと、ごちそうが作ってあって穂高もすっかり打ち解けているみたいです。
実はマジョさんは娘さんが結婚してイギリスへ行ってしまい、1人になったのでこの家に引っ越してきたのだそうです。
この家はずっと空家で「お化け屋敷」と
呼ばれていたので、ここに住み始めたマジョさんは魔女だという都市伝説になってしまったようです。
いろいろ話しをするうちに、穂高はふと聞いてみました。
「お母さんは子供と離れたくないものですか?」
すると、
「元気でいてくれるならそれでいいかな……でも、もし何かあればどこにでも飛んで行きますよ。お母さんは死ぬまで子供のお母さんです」
そう言うマジョさんの言葉に複雑な表情を浮かべる穂高でした。
そして、マジョさんの家からの帰り道で、1人の女性に出会います。
以前も出会った女性。和平に声をかけてきた女性。
三姉妹のお母さんでした。
お母さんは3人と別れてから淋しくなって、会いたくてたまらなくなったから会いに来たと言ってきます。
ちいちなは「お母さん」と言って駈け寄りましたが、穂高は固まってしまいました。
自己紹介する和平に『お母さん』は3人を迎えに来たと言いました。
これから自分の旦那さんと娘たちと5人で暮らすのだと。
穂高はどうしていいかわからずに逃げ出してしまいます。
和平は追いかけようとする『お母さん』を引き留めて少し話てみましたが、何だか話が噛み合いません。
こっちの話しなんて半分も聞かないすごくマイペースな人です。
『あの子達を引き止めたりしないですよね……』
『あの子達がいないと生きていけません……』
『あの子達を返してください……』
いろいろな言い訳をしてきますが、結局のところ、自分のためだけに子供とまた暮らしたと思ったみたいです。
和平は腹が立ちすぎてみぞおちの辺りが冷たくなっている自分に驚いていました。
自分の都合で捨てといて返してくださいはないわな……
というか子供は親の所有物ではない。
このお母さんは根本的な部分が分かってないエゴイストです。
家に帰り、穂高に母親と別れた時の話しを聞いてさらにビックリします。
さらに母親は穂高に新しい恋人と結婚するんだけど『彼』が子供は苦手みたいで……と、
「子供はいらない」とにおわせる発言と、穂高たちを父親が引き取る話が出ていることを突然言い出します。
『さみしいけど……いいんだよ?……決めて?ほたちゃんが決めて?……』
なんて残酷な……『自分で決めた』ということは責任は自分にあり、言い訳も許されず、逃げ道もないってことですからね……
『……あの人はいつも自分と男の人が最優先で、でも私達のことも捨て切れず、気まぐれに戻ってくるんです……』
『真綿で首を締め付けられ続けられてるみたいです』
和平は、「穂高がどうしたいかゆっくり考えな」と、今回も穂高が決めるように促します。
これは辛い……
次の話への繋ぎ方が和平、穂高、双子がバラバラに歩いているようにも見える描写で余計に辛い……
双子の会話が切ない……
『和平くんさぁ10年後とか言うじゃん、ずーっと一緒に居ると思ったのにねー』
『ずっと一緒に居られたら良かったのにね』
ちいもちなも和平くんが好き。
でも別にお母さんのところでもいい。
お母さんも嫌いではない。
お母さんはお母さんだから。
でも、ほたちゃんがいなきゃどっちもイヤ。全部ダメ。
ほたちゃんが一番大好き。
だから、ほたちゃんが決めるの待とうね。
座って手を繋いでこう話す幼い双子……切ない。
一方の穂高、学校で今日は食用がないから……と友達に言って教室を後にします。
『無って楽……』と一瞬ボーッとする穂高も可愛い。じゃなかった、ボーッとする穂高でしたが、理性的に整理して考え出します。
ちいとちなはまだ小さいからお母さんと暮らせるならそれが一番いい。
お母さんも今度こそ普通のお母さんになるかも……わからないけど。
『大丈夫、2人は私が守る。私が……私は?私はどうしたいんだろう』
悩んでいると、「でかいな、ため息!!」と声をかけられます。
ため息つくと幸せは逃げるから吸って!と。
穂高の親友、桜ちゃんです。
1日暗い顔だった穂高を心配してわざわざ追いかけてきたのです。
「何もないよ」と作り笑顔で答える穂高に桜は、「私、けっこう見てると思うよ 穂高のこと見てるよ」と言います。
穂高は少し安心したのか、母のことで悩んでいる、全部解決したら聞いてほしい。と桜ちゃんに言います。
桜ちゃんは自分は無力だー!と言いながら、自分は穂高の味方だから!と強く言います。
結構心強い。
そして、自分はうるさいのではないか、1人になりたい!?ととことん穂高を気遣ってくれています。
そんな桜に穂高は、
『ううん 居て 桜 ありがとう』
と言います。
会社で和平も悩んでいました。
ここで4人で暮らしたいと思っていても、これは3人と母親の問題だから自分の意見や気持ちなんて余計な口は挟んじゃいけない気がして、どうしても二の足を踏んでしまうのでした。
誰かに聞いてほしくて、何か言ってもらいたくて相談相手を考えていた和平は書店に足を運んでいました。
話を聞いた片山さんは、 和平の気持ちを全部伝えてみたらどうでしょうかと助言してくれます。
それでも、母親に余計な感情を持っていなくて、妹達が大事な自分は公平なことを言ってあげられない気がする……と言う和平に対して、片山さんは自分の言いたいことを伝える為に自分の昔の話を始めます。
自分も父親が亡くなった子供の頃に、親戚の養子になるかどうか大人に聞かれそうになったことがあったといいました。
けれど片山さんのお母さんはきっぱりと断ってくれたのです。
『子供にそんな大事投げ出さないで』
襖の陰で聞いていた彼女は力任せに守られてとても安心したと懐かしそうに話してくれました。
こんな大きな決断を子供に決めさせるのは荷が大きすぎるから、和平がここにいてほしいという気持ちを伝えて安心させてあげるべきだと諭してくれました。
片山さんに会いに来て良かったです。
って言われたときの片山さん可愛すぎますよね!!
・まとめ
第4巻は『家族』となったことで生まれた新たな試練がメインテーマだと思います。
ほっこりするエピソードの中に潜む爆弾……『微笑みの爆弾』?違うかw
また、片山さんがヒロイン力を発揮するのも4巻の特徴だと思っています。
片山さんで始まり片山さんで終わるんです!
片山さんファン必見ですよ!
家庭での片山さん、働いてる片山さん、頼れる片山さん、あたふたする片山さん、全部見れます!
穂高、ちいちな、片山さん、全てひっくるめて……
『愛しさと切なさと心強さと』
これは大人に読んでもらいたい作品です。
自分勝手に子供を振り回さないこと。
家族を形成する上での教科書にもなる素晴らしい作品だと思っています。
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ここまで読んでくれた方々、ありがとうございました!感謝です(^人^)
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