神黎の図書館

漫画・小説・映画・アニメ・ドラマを主観によるグラフ+点数+批評+感想を綴り、作品の評価をあらゆる形で視覚化したブログです。有名な作品から掘り出し物的な作品まで生涯の内になるべく多くの作品に触れて伝えていけたら本望です。

ついに明かされる王様ゲームの謎:『王様ゲーム 終極』

王様ゲーム 終極 (双葉文庫)

・タイトル

王様ゲーム 終極

・点数 60点(小説としての評価)

表現力☆☆☆
深み☆☆
芸術性☆☆
ストーリー性☆☆☆☆
読みやすさ☆☆☆☆

・点数 75点(ラノベとしての評価)

設定☆☆☆☆
キャラクター☆☆☆☆
ストーリー☆☆☆
構成☆☆
文章力☆☆☆


・著者情報

金沢伸明(ぱっくんちょ)

1982年 広島市呉市出身の小説家です。
大学を卒業後、IT企業に勤める傍ら、趣味として、モバゲータウンにてぱっくんちょのクリエイター名で携帯小説王様ゲーム』を執筆します(会社を立ち上げた時期と作品の投稿時期が同時期だった為、二足のわらじ状態だったようです)。

この著者の作品は王様ゲームだけですが、シリーズとして全12巻が双葉社から出版されています。

また、この作品は複数人の作家によりコミカライズされ、実写化、アニメ化などされています。

今回取り扱うのはこの中の双葉社により書籍化されている『文庫版の小説』になります。(第2作目です)

・本の概要

あの悲劇(王様ゲーム)から7ヶ月、伸明が転校した学校で再び王様ゲームが始まった。

そしてこの作品のヒロインでもある本多奈津子の登場によって王様ゲームの謎も解き明かされる。

・評価
今回も普通のミステリー小説としての評価とラノベとしての評価の二段構えでした。
ラノベとしての評価のほうが結構高いです。

ラノベとして考えた場合に大事になってくるタイトルについてですが、甘めに見積もればここは満点に近いと思ってます。
結構長編なのにシリーズ2作目にして「終極」?と思わせた時点で作者の勝ち。というのがラノベの評価には大きく左右するポイントとして入るので、そこが強みとしてあります。

設定は相変わらず面白くて惹かれるものがあるのに前半が前作の省略版焼き回し感が否めないのが残念ポイントです。
残念ポイントというか本当に勿体ないなぁ~という感じです。

キャラクターに関してはなんと推しがいます!というぐらいのめり込みはしてるので、素直に高評価にしてます。
個人的な趣味嗜好が強いので、間を取って満点にはしてませんが、推しキャラも嫌いなキャラもどちらにも感情が芽生えてるのでラノベ的にはGood!

構成力は残念でしたが、抜群の素材を使っている分、ストーリーはそれなりにまとまってます。
ただし、後味は悪いです。
始まりと終わりがなかなか嫌な気分になる作品に仕上がってます。
前述部分で言える範囲のストーリーの特徴はこんな感じかな!
気になったら本編読むか後述読んで察して下さい。

この手の作品やこういうクライマックスシーンになる作品はわりとありますが、「そういう形」というか概念?だった種明かしでもあるラストシーンはわりと好きです。
物語云々とかストーリー展開ではなく、そこのアイデアに至ったところが好きです。
世界観とキャラクターはマジで好きな作品。あ、後半以降の話です。

文章力・表現力に関しては本当に可もなく不可もなくなので、特筆すべき点がないですが、言葉のフレーズ選びは個人的にややポイント高めです。
その結果、高確率で好き嫌いが分かれる空気にならないキャラクター性が完成してるので、そこもラノベ的には高ポイントですね!

ここまで褒め気味ではありますが、小説としての評価や後述の感想部分でこの作品が酷評されがちな意味についても触れてますが、ラノベにとって最も重要な素質と言えるであろう商業性に関しては欠けていると感じました。
そこら辺はラノベの新人賞等の審査を経てない携帯小説からの出版なので、評価が難しいところではありますが……。
商業性はないって感じるのにシリーズ累計10巻ぐらいあるからうーんwって感じ。
結果論ではなく、この作品を単体で読んだ時に感じた率直な意見です。
少なくとも万人向けのテーマ性ではない。ということで、そこはシビアに採点させていただきました。


以下、商品リンクを挟んで、内容に触れた感想を書いています。
ネタバレが気になる方はご注意下さい。


王様ゲーム 終極 (双葉文庫)
双葉社ジュニア文庫 王様ゲーム 終極
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・感想
分かりやすさという意味では一定の評価ができますが、単調と言えば単調。

前半は同じことの繰り返しになるのを避ける為か、展開が早すぎるのでそこはもうちょっとどうにかしてほしかったかもしれません。

ルール上、同じことを繰り返すならそれを利用して見せ方を変えるとかやりようはあったように感じます。

前作を見ていれば王様ゲーム
ついては知っています。
ただし、終極のキャラについては全く感情移入出来ていない状態でそうなっても…という感じです。

まあ、前作の序盤の犠牲者も近い状況でしたが、そこは伸明が同級生パワーでどんな奴だったかを説明してくれたので、前作の『彼』はただのいじめっ子じゃなかったんだなー、と読みながら悲しくなりましたが、今回の彼は話を聞かずに伸明を敵と決めつけといて、ヤバいと思ったら伸明に命乞いして、助からないと分かれば伸明に恨み節など、一貫性に欠けてるような気がしました。
いや、普通の高校生なんでしょうけど、一人相撲感が凄い。

とはいえ、作品全体がダメという訳ではありません。
87ページぐらいからようやく物語がゆっくり動き出して前作との違いや繋がりが見えてくる別作品になっていくという感じです。

これは批評家の人にボロクソに言われてもしょうがない。アニメ化の際のベースということで変に注目を浴びたのかな……

前述の通り、物語の序盤は単調過ぎたり、感情移入しづらかったりですが、物語が動き出してからはまあまあ面白いのかなー?って感じです。この世界観に慣れすぎてもはや自信はないですが。

この作品にもとても好きなキャラがいます。
とても我が儘で身勝手な女の子。
ただし、ネタバレになるので書けません。

奈津子も結構好きです。
でもネタバレになるので…。

結論としてはやはり何も書けない(笑)
とりあえずこの作品は読者が奈津子をどう思うか。で評価が変わるぐらい重要な存在です。

ストーリーのまとめ方も一定の評価をしていいと思います。

これは完全に個人的主観なので無視してもらっても大丈夫ですが、前作もこの作品も、クラスメートというだけで友達とか言ってる伸明に対する不快感が最後まで残りました。

友達に~とか友達が~とか軽々しく言い過ぎてこの人の言う『友達』の意味が薄っぺらく感じられました。

王様ゲームって元が携帯小説なので読みやすさに関してはいいほうだと思います。
斜め読みの練習には最適かと思います?


まとめ
別に作品そのものは嫌いではないです。
謎解き編として一定の納得と満足もしています。

さて、問題は前作の王様ゲームを読んでいないとこの作品のみでは完成していないこと。

更にはよほど王様ゲームの世界観を気に入らないと時間を割いてまで読む必要はないということ。

自分で言うのも何ですが、後者の意味は深いです。
単純に、前作の王様ゲームが気に入ったという人にオススメとも言えないです。

一応前作は前作で完結しているのでそこで止めておくのも1つの手だと思います。

そうですね……王様ゲームの世界観が好きで、尚且つデッドレースが好きで、後味が良くなくて(悪くて)も平気な人には一応勧められるかな?ぐらいの作品です。

読むと終極の意味は分かります。


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